デザインシンキングとデザインエンジニアリングを専門とするMRM//McCannの「LAB13(ラブ・サーティーン)」。これまで米国(ニューヨークとデトロイト)、ドイツ、英国に設置されており、日本は5か所めとなる。目指すところは、クライアントやさまざまなテクノロジー企業、スタートアップと協働し、目まぐるしく変化する市場に先駆けて生活者重視のソリューションを企画、素早くプロトタイプ化して市場に導入することだ。
その特徴は分野横断型チームによる迅速な行動力と、国境を超越した「コラボレーション力」だろう。「このイノベーションラボを通じて新しい商品やテクノロジーを企画・創造するだけでなく、新しいビジネス創出も可能になる」とはいうのは、グローバル・チーフ・エグゼクティブ・オフィサーのケイト・マクネヴィン氏。
「クリエイティブやテクノロジスト、ストラテジスト、スタートアップ、消費者……。アジアをはじめとする世界のブランドに、LAB13 Tokyoを通じてこうした人々との共同開発の機会をもたらすことは我々のイノベーション戦略とぴったり合致します。魅力に溢れた日本文化というバックグラウンドも、その刺激要因になる」と話すのはグローバル・プロダクト・イノベーション&LAB13担当VPのドミニク・ハインリッヒ氏。
アレン・ウォン氏が率いるLAB13チームの旗印は「D.I.V.E(Discovery=発見、Invent=発明、Validate=実証、Experience=体験)」というプロセスだ。「人への洞察によって成長と革新の機会を導き出し、通常のイノベーションよりも迅速にクリエイティブコンセプトに転換、プロトタイプで実証し、生活者が体験できるようにするのです」(ハインリッヒ氏)。
スタジオが設けられるのは、東京・南青山の新国立競技場に近接するMRM//McCannのオフィス内。同社代表取締役のキャスパー・ウーヴァロフ氏はこのように話す。「イノベーションは人やブランド、ビジネス、テクノロジーが触れ合う場所で生まれると確信しています。生活者が本当に必要なものを探し出し、テクノロジーの知識を活用して画期的なソリューションを生み出すのが我々の仕事。イノベーションによってブランドが意義ある役割を果たすことができるよう、サポートしていくことが使命です。これこそが、我々の言う『意義あるイノベーション』です」。
(文:水野龍哉)