* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。
ドナルド・トランプ氏の復活劇は、今年、いや恐らくこの10年で最も注目に値すべきニュースだろう。ほぼ10年にわたって世界政治の舞台で議論の中心にいた人物が、いま再び主導権を握り、かつてない強力な地位に返り咲くのだ。これは驚くべき展開だが、アジア太平洋地域(APAC)だけでなく、世界全体にとっても大きな不安定要素になる。では、トランプ大統領の誕生はAPACやメディア市場、そしてメディア企業にどのような影響をもたらすのだろうか。
まず最初に注目すべきことは、トランプ氏の勝利だけではなく、共和党が上院でも下院でも過半数を上回った事実だ。 「三冠」の達成は、トランプ政権の政策実行力が大幅に高まることを意味する。米国では大統領の権限を抑制する仕組みがあり、議会を支配する者が大きな権限を有する。だが三冠が実現したことで、以下のような影響が出るだろう。
まずは関税への影響だ。トランプ氏はすべての輸入品に10%、中国製品には最大60%の関税を課すと公約している。これによってすぐにでも起きそうな事態は、中国を拠点とするメタやアマゾンなどの広告主 −− SHEIN(シーイン)やTemu(テム) −− への追い風が急速に弱まることだ。いわゆる「デミニミス(非関税基準額)ルール」が変更され、中国企業への免税が大幅に削減されることを考えると、すでにこうした動きは起きていると言っていい。
それほど目立たない波及効果もあるかもしれない。まず、米国市場から締め出される中国の広告主は、欧州や南米市場進出への取り組みを強化するかもしれない。さらに中国当局は関税への対抗策として、輸出への依存度を減らすために、国内消費の大幅拡大に舵を切るかもしれない。それは大々的な景気刺激策を意味する。国民の間に根強い貯蓄志向を覆し、消費を促すのだ。そうなれば、結果的に広告主の売上と広告業界の成長を後押しすることになる。しかし私は、そうした効果が出るまでにはまだ時間がかかると考えている。
では、中国による欧米企業への報復措置の可能性はどうか。確かにそれは脅威で、特に米国企業にとっては大きな打撃になる。しかし、そうした対応は上記の消費喚起策と比較して考える必要がある。中国市場に大きな関心を持っている米国企業は、明らかにテスラとアップルだ。テスラは最終的に生き残るだろう。なぜなら、トランプ政権と密に関わるイーロン・マスク氏に対して何か行動を起こせば、過剰な挑発行為とみなされるからだ。しかしアップルは、間違いなく標的となる可能性がある。
他の地域はどうか。重要なのは、ドル高になる可能性だ。商品価格はドル建てで設定されるため、ドル高になれば自国通貨が安い国では商品価格の上昇につながる。2022年には、ドル高が米国以外の地域のインフレを加速させる要因の1つとなった。そのため、インフレに対処せねばならない広告主にとってはもう1つの潜在的課題となる。しかし2022年と異なるのは、インフレ悪化の要因となる新たな大規模戦争が起きていないことだ(今後もそう願いたいが……)。もしトランプ氏がロシアのウクライナ侵攻を終わらせられれば、食料関連の商品の値下げにつながるだろう。
他にも注目すべき点が2つある。1つは中国のテクノロジー企業が、小売企業同様、米国市場での制約を恐れ、成長維持のためより積極的に米国以外の市場に参入する可能性だ(特に私はTikTokに注目している)。
2つめは、より根本的な問題になる。米国が取る行動が世界に与える影響は大きい。トランプ政権が巨大テック企業を標的とした場合(共和党の多くの議員と次期副大統領のJ.D.ヴァンス氏はそれを望んでいる)、グーグルの分割、あるいはメタやアマゾンを縮小する措置が取られるかもしれない。そうなると、APACのテクノロジーエコシステムへの影響は甚大だ。また、米国の主要な放送ネットワークが標的になれば、彼らのアジアにおける活動に影響を及ぼすだろう。こうした点に注目していきたい。
イアン・ウィテカー氏は英コンサルティング会社リバティ・スカイ・アドバイザーズの創業者で、マネージングディレクターを務める。財務の視点から見た広告業界についての記事を、Campaign 誌に定期的に寄稿する。