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ナイキ、マラソン大会に合わせたキャンペーンに批判集中
ナイキ(Nike)が先月27日のロンドンマラソンに合わせて掲出した屋外広告が物議を醸している。
同社はランナーがさまざまな苦痛と戦いながらレースに参加していることを描写した「Winning Isn’t Comfortable」キャンペーンを、昨年9月からさまざまなマラソン大会に合わせて展開してきた。今回は「Never again. Until next year.」というスローガンを掲出。これは大会直後は苦しさから「もう二度と走らない」と思うものの、一年後には再び参加してしまうというランナーの心情を表現したものだという。
だが「Never Again」というフレーズは、ホロコーストを二度と繰り返してはならないという教訓として用いられてきた。さらに大会直前の4月22~23日はホロコーストを追悼する記念日でもあったことから、「不適切」だと批判が集まった。
ネイキッド・エイプ(Naked Ape)の共同創業者兼戦略ディレクターのシエナ・デクスター氏は、キャンペーンについて「ただの無神経か? あるいはひどい無礼か?」と投稿。長年ホロコースト記念日で唱えられてきたフレーズをこのタイミングで使ったことに触れ、「これが単なる愚かなアクシデントであることを願うが、そうではないと思う」と記した。

一方、サークル(Cirkle)のクリエイティブ戦略ディレクターであるレベッカ・ホームズ氏は、このキャンペーンは「何かを意図したものではないと思う」とコメント。「昨日のマラソンに参加した英国在住のユダヤ人女性として、私はこれを問題視していません。マラソンに対して抱く感情や話題に関連したものだと感じています。もちろん私個人の意見ではありますが、的外れだと思います」。
ナイキの広報担当者は「悪意は全くなく、悪影響を与えたことについて謝罪します」と述べる。「ロンドンでのOOHは、ランナーのインサイトに基づく『Winning Isn’t Comfortable』キャンペーンの一環であり、自身の可能性を押し広げようと奮い立たせようというものです」。
WPPの収益が2.7%減、特に中国市場で苦戦
WPPが2025年第1四半期の業績を発表し、収益は33億米ドル(前年同期比-2.7%)だった。地域別では中東欧が前年同期比で+2.0%だが、西欧が-4.5%、英国が-5.5%、北米が-0.1%、中南米が-1.6%、アジア太平洋が-5.7%、アフリカ・中東が-1.9%とマイナス成長に。特に中国が-17.4%と低迷している。
マーク・リードCEOは、第1四半期の業績はマクロ経済的な課題や新規事業のタイミングを反映した「予想通りのもの」だとコメント。第2四半期もこれらの要因は継続し、下半期に業績が改善する見込みだという。
投資家向けの電話会議で同氏は、業績が予想通りではあったものの「この結果に満足しているという印象を与えたくはありません」と述べ、業績不振に対応するための具体的な計画があると強調した。
IPG、9,440万米ドルの損失を計上
インターパブリック・グループ(IPG)も第1四半期の業績を発表、総売上高は20億米ドル、前年同期比-3.6%だった。9,440万米ドルの損失を計上しており、その一因として組織再編(2億330万米ドル)に伴うリース解約などの取り組みを挙げている。
地域別では米国が-4.0%、英国が-6.1%、欧州大陸が-0.4%、アジア太平洋が-9.0%、中南米が+3.1%、その他市場が+2.9%だった。
フィリップ・クラコフスキーCEOによると、「業績は予想通り」とのこと。またオムニコムによる買収は今年後半に完了予定で、順調に進んでいるという。
ブルーライトはゲーマー共通の敵 ヴァセリン
太陽光を長時間浴びると肌にさまざまな悪影響が起こることはよく知られている。だがユニリーバ(Unilever)が調べたところによると、スクリーンから放出されるブルーライトのリスクを、消費者の64%が認識していない。
そこでヴァセリンはオグルヴィと提携し、ブルーライトを浴びるリスクが高い熱心なゲーマーを巻き込んだ啓発キャンペーン「スクリーン・ブロック」を実施した。キャンペーン最初の地として選ばれたのは、3,200万人ものプレーヤーがいるタイ。オンライン動画やデジタル広告、ソーシャルメディア、インフルエンサーを起用したコンテンツの他、ツイッチ(Twitch)内のメディアや、フォートナイトにゲームプレーの要素を組み込んだものも含む。
「世界中の33億人のゲーマーは、ゲームの種類に関わらず共通の敵、つまりブルーライトと戦っています。しかしほとんどの人はそのことに気付いていません」と語るのは、オグルヴィ・カナダの最高クリエイティブ責任者であるフランチェスコ・グランディ氏。「この目に見えない現実に光を当てるため、私たちは意識向上のためのキャンペーンを立ち上げただけでなく、ゲーマーの実世界でのスキンを守る製品を開発しました。これは特に、週に40時間以上プレーするゲーミングコミュニティーの25%の人々、そして毎日12時間以上トレーニングするプロのゲーマーにとって重要です」。
ヴァセリンは近い将来、このキャンペーンを他の市場へと拡大する予定だ。
【お知らせ】
マーケティング・コミュニケーション業界でリーダーシップと革新性を発揮し続けるベテランを称えるCampaign Asia-Pacific主催「50 Over 50(50歳以上の50人)」の、第1回目の受賞者が公開されました。日本から選ばれたのは、ジー・ワトソン氏(マッキャン・ワールドグループ)とマーク・ウェセリング氏(ウルトラスーパーニュー)。詳しくはこちら(英語)をご覧ください。
(文:田崎亮子)