複数デバイスの利用において、日本はアジアの中でトップクラスだ。AI(人工知能)を活用するテクノロジー企業Appier(エイピア、本社:台湾)の調査では、4台以上のデバイスを併用する人の割合が2015年下半期に比べ30%増えたという結果が出ている。
日本の複数デバイス利用者のうち、日常的に4台以上のデバイスを併用する人の割合は、前回調査時の39%から51%に増えた。3台以上を併用する人の割合は73%だ。調査ではまた、閲覧するデバイスによってオンライン広告への反応が「全く異なる」ユーザーが50%近く増えたことも分かった。
同社は、日本では大量のスマートフォンが普及しているにもかかわらず、パソコンでのインターネット利用が引き続き多いことを、前回の調査で明らかにしていた。スマートフォンとパソコンの利用量はほぼ同じだ。一方、ウェブの利用をデバイスごとに見てみると、タブレットはスマートフォンよりも17%多く利用されていることが今回分かった。
性別で見ると、日本の女性がウェブサイトの閲覧にパソコンを利用する割合は男性より20%高く、これは日本以外のアジア諸国とは真逆の現象だ。タブレットでの閲覧率も、男性より女性が10%高い。一方、アプリやスマートフォンの利用は男性の方が多い。「ユーザーにリーチしようとする際には、フォーマットごとの違いに慎重に対応する必要があります」とAppierの最高売上責任者(CRO)ファブリツィオ・カルーソ氏は話す。
この調査は、単体のデバイスに的を絞ったキャンペーンに比べ、クロスデバイスでのユーザー行動を考慮したキャンペーンの方がはるかに効果的であることを示唆。モバイルのみに全てを賭ける傾向の高まりに、同社は異を唱える。
その一方で、eコマースではモバイルが極めて重要であることも示された。曜日と時間帯ごとの利用状況を測定した結果、ページビュー、コンバージョン、購入はスマートフォンからのものが最も多く、一方でユニークユーザー一人当たりのページビューはタブレットが最も多かった。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:田崎亮子)