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18歳未満への配信を禁止する自社規制を回避 グーグル
グーグル(Google)とメタ(Meta)が10代を対象にしたターゲティング広告を配信していたと、英フィナンシャル・タイムズ紙が報じた。
グーグルは18歳未満の利用者に対するターゲティング広告を禁止している。だがメタのアプリ(フェイスブックなど)の広告キャンペーンを、年齢や性別、世帯収入などが特定されていない「unknown(不明)」という属性の利用者に向けて配信。このカテゴリーには13~17歳の利用者が多く含まれていた。キャンペーンを手掛けたのは、ピュブリシス傘下の米スパーク・ファウンダリー(Spark Foundry)。
グーグルはCampaignに対し、「当社のポリシーの回避に関する申し立てを徹底的に検討し、適切な追加措置をとる」と述べ、その中には「広告主が特に慎重に扱うべきオーディエンスをターゲットにしようとするのを、手助けしてはならないと営業担当者に徹底するためトレーニングを刷新する」ことも含まれるという。
一方、メタの広報担当者はCampaignに対し、「10代の若者が友人とつながり、コミュニティーを見つけ、自分の興味を発見する場として、当社アプリのマーケティングを積極的に展開してきました」とコメント。「グーグルの『unknown』というターゲティングオプションは、メタだけでなくあらゆる広告主が利用可能です。また私たちは他のプラットフォームで10代に向けてアプリを宣伝する際には、彼らの興味に関する情報を利用した広告ターゲティングを行わないという明確な原則を掲げ、これを守っています」。
広告キャンペーンは今年2~4月にパイロットプログラムを立ち上げ、5月に試験的に行った。なお1月末にはメタのマーク・ザッカーバーグCEOが米議会の公聴会に出席し、ソーシャルメディア上での性的搾取などを受けて自殺した若者の遺族に謝罪している。
グーグルの検索市場独占は違法 米連邦地裁
米司法省が2020年に、オンライン検索市場で9割のシェアを占めているとしてグーグルを提訴していた件で、ワシントンの連邦地裁は反トラスト法(独占禁止法)に違反したとする判決を下した。
同社はアップル(Apple)、サムスン(Samsung)、モジラ(Mozilla)などに検索エンジンとしてプリインストールされるよう、毎年100億米ドル以上を支払ってきた。「グーグルは独占企業であり、独占状態を維持するために動いてきた」と、アミット・メータ判事は意見書に記す。
これに対しグーグルは「今回の判決はグーグルが最高の検索エンジンを提供していると認めたものの、それを簡単に利用できるようにすることは許されないと結論付けている」との声明を発表。また同社の弁護を担当するジョン・シュミットライン氏は、グーグルの検索エンジンが選ばれるのは「他よりも優れているからだ」と述べている。
Xが広告主を「違法ボイコット」で提訴
X(旧ツイッター)が広告主団体や複数の企業を、反トラスト法違反でテキサス州の連邦地裁に提訴した。
同社が訴えたのは世界広告主連盟(WFA)、ユニリーバ(Unilever)、マース(Mars)、CVSヘルス(CVS Health)、オーステッド(Orsted)。WFAが運営する「責任あるメディアのための世界同盟(GARM)」を通じて、広告主企業が示し合わせてXへの広告出稿を取りやめた、数十億米ドルの損害が発生したと主張する。
Xのリンダ・ヤッカリーノCEOは広告主に宛てた公開書簡の中で「違法なボイコットによってアイデアの市場が損なわれ、ある視点がほかの視点よりも資金を得られなくなると、人々は傷つきます。何が収益化されるのかを、少数の人々が独占するべきではありません」と訴えた。イーロン・マスク氏もこの投稿を引用し、「私たちは2年間、友好的であろうと努めてきたが、もう戦争だ」と書き込んでいる。
カンヌライオンズ運営のアセンシャルが、エフィーを買収
カンヌライオンズを運営するアセンシャル(Ascential)が、エフィー(Effie)を買収することで合意した。
エフィーは、マーケティングコミュニケーションを評価するエフィー賞を運営している。規制当局の承認が得られれば、エフィーはアセンシャルのライオンズ部門の一部となり、マーケティングを学ぶ学生へのトレーニングを提供するエフィー・ライオンズ財団も新たに立ち上げる。買収後もエフィーブランドは存続する。
「ライオンズとエフィーの提携は、マーケティングにおける有効性とクリエイティビティーが密接に結びついていることの証」と、アセンシャルのフィリップ・トーマスCEOは声明でコメント。「賢明な企業であれば、クリエイティブかつ効果的なマーケティングが成長の原動力になることを知っています」。
カンヌライオンズは商業的なクリエイティビティーや独創性を重視することで知られてきたが、近年はCreative Effectiveness部門を立ち上げるなど、ビジネスとクリエイティビティーを結び付ける取り組みを強化している。また先月には英インフォーマ(Informa)がアセンシャルを買収した。
コピーライターの思考プロセスをAIが学習 電通
電通と電通デジタルは、同社のコピーライターが長年培ってきた思考プロセスをAIに学習させた広告コピー生成ツール「AICO2(アイコツー)」を開発した。
同社では広告制作に生成AIを活用しようと、2015年から研究開発を続けてきた。初代のAICOは多くの発想をもたらした一方で、利用を繰り返すと過去のものと類似したコピーを出力したり、テーマからかけ離れたコピーを生み出すなど限界があった。
そこでAICO2ではコピーのみならず、コピーライターの意図や思考プロセスも学習させた。キャッチコピーとして「伝えたいこと」「商品名」「解決したい課題」などを入力すると、「伝えるべきこと」と「表現方法」が理由と共に表示される。また、作成したコピーを自動で採点し、一定の基準に達したもののみを出力する機能も備える。
(文:田崎亮子)