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子どもインフルエンサーを守る法案、米国の3州で成立
米カリフォルニア州で先週、子どもインフルエンサーの報酬を守る法案が成立した。ギャビン・ニューサム知事が署名したこの上院法案SB764は、2025年に施行される。コンテンツの30%以上に未成年者を登場させるクリエイターに対し、得た収益の少なくとも15%を信託ファンドに預けることを義務付け、18歳になったら受け取ることができるようになるというもの。ソーシャルメディアに出演する子どもを守る法案はイリノイ州やミネソタ州でも成立しており、カリフォルニア州は3番目の州となる。
法案の署名には、デミ・ロヴァート(俳優)も出席した。同氏はこの夏、子役スターの苦悩を描くドキュメンタリー『チャイルド・スター』の監督を務め、クリスティーナ・リッチやドリュー・バリモアなど元子役にもインタビュを実施。人々に注目されながら成長することの喜びや苦しみについて明らかにしている。
ニュースサイトへの広告掲載、記事による差は無い ハリスX調べ
ニュースサイトへの広告掲載は、「安全」なコンテンツでも「安全でない」コンテンツであっても、広告のパフォーマンスは同等だという。ハリスX(HarrisX)の調査で明らかになった。
「安全」とされるのは、スポーツやエンターテインメント、ビジネスなどのコンテンツ。一方で「安全でない」とされるのは、犯罪や中東情勢、インフレといった内容のコンテンツだ。これらに掲載した広告の購買意向、好感度、ブランドイメージを調べたところ、結果には差が無かったという。
ハリスXの上級リサーチディレクター、ジャック・マイルズ氏は「質の高いジャーナリズムと、それに協力するブランドには成功のチャンスがあります」と語る。「ブランドセーフな記事と、そうではない記事のどちらに広告が掲載されても、同じような効果を発揮しました」。
また、ニュースサイトへの広告出稿が無いと、ニュースの収益が減少し、報道部門の資源が減り、ジャーナリズムの「クリックベイト化」や偽情報の蔓延、質の高いジャーナリズムの減少という「悪循環に陥る」と指摘する。
偽情報と戦う姿勢を強調 BBC
英国放送協会(BBC)が、偽情報と継続的に戦う同社の姿勢を伝える動画を制作した。制作はBBCクリエイティブ(BBC Creative)。動画はソーシャルメディアやラジオなどで公開される。
BBCは昨年5月、使用する情報や映像を検証する専門チーム「BBCヴェリファイ(BBC Verify)」を立ち上げた。「BBCで実際に取り上げたニュースに完全に根差した動画にしたかった。すべてが本物で、現実の報道に基づくものでなくてはなりませんでした」と語るのは、BBCクリエイティブのエグゼクティブクリエイティブディレクター、ラスムス・スミス・ベック氏だ。
動画内では、ジャーナリストが偽情報に対処する舞台裏も映している。「私たちが何と戦っているのかを明確にするため、偽情報そのものを取り上げ、それを直接確認する場面を追加することが重要だと感じました」。
この動画の特徴は、偽情報を広めている人々に直接語りかけているスタイルだ。「彼らはオンライン上のユーザー名で身元を隠していることが多く、特定するのが非常に難しいと思われています。しかし直接語りかけることで彼らを前面に押し出し、彼らが何をしているのかが明らかになるのです」。
佐藤カズー氏、持続可能性と創造性に特化した新会社を設立
TBWA HAKUHODOのCCOを務めた佐藤カズー氏が、サステナビリティーとクリエイティビティーに特化し、ビジネスや社会の仕組みを持続可能にデザインする地球中心デザイン研究所(ECD)を設立した。
同氏はCCO時代からサステナビリティーに関心を持ち、地球環境学の修士課程に進むため2022年3月末に退任。今年4月に卒業し、TBWA HAKUHODOの子会社としてECDを立ち上げた。広告・クリエイティブ業界で実績を重ねてきたコアメンバーを「デザイナー」と呼称し、それぞれの専門領域から企業ブランディング、新規事業創造、スタートアップ支援、地方創成を行う。また環境・社会の持続性を専門とする学識者や有識者などもパートナーとして参加する。
痛みのジェンダー格差の認知度向上とアクションを ニューロフェン
鎮痛剤ブランド「ニューロフェン(Nurofen)」は英ニューカッスルで9月末に、痛みのジェンダー格差に関するインスタレーションを公開した。男性に比べて女性は痛みを軽視される傾向にあるといわれている。同ブランドは2022年11月に「See My Pain」キャンペーンを立ち上げ、今回のインスタレーションもその一環として行われた。
同ブランド2023年の調査によると、女性の49%が家族や友人、医療従事者から痛みを無視された、あるいは軽視されたと感じており、男性(38%)と11ポイントの差が開いているという。
鎮痛薬の箱を模した4m×6.7mの大きなスクリーンには、痛みは「すべて気のせい」と言われたり、「感情的過ぎる」と非難されたという女性の実話が映し出された。企画・制作はマッキャン・ロンドン(McCann London)、モメンタム・ワールドワイド(Momentum Worldwide)、チズウィック・シーナリー(Chiswick Scenery)。
レキット(Reckitt)でニューロフェンのマーケティングマネジャーを務めるマチュー・デブランド氏は「このアクティベーションで目指すのは、痛みが無視されてきた女性たちの声を広め、痛みの管理や治療における平等に向けて認知度を高め、アクションを促すこと」と語る。「女性が痛みに対して適切でタイムリーな治療を受けるのを、ジェンダー偏見が妨げています。これと戦うニューロフェンの姿勢を、今回のアクティベーションや今後の施策が示すきっかけとなるでしょう」。
マッキャン・ロンドンのエグゼクティブクリエイティブディレクター、レーガン・ワーナー氏は「体験してきたことを語る女性たちの生々しい感情や、治療を求める女性たちが実際に受けた対応を読んだ人々の反応を、目の当たりにできたのは感慨深いことでした」と語る。「数えきれないほど多くの女性が経験してきた痛みのジェンダー格差が広く蔓延し、深い影響を与えてきたことが浮き彫りになっています」。
(文:田崎亮子)