Bailey Calfee
2024年9月18日

DE&Iから撤退するブランドは苦境に立たされる

複数の大手ブランドが、DE&Iの取り組みから撤退する。マーケティングの専門家たちは、これらの決定が短期的にも長期的にもビジネスに悪影響を及ぼすと警告している。

DE&Iから撤退するブランドは苦境に立たされる

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。

この1カ月の間に、7つの大手ブランドがDE&I(多様性、公平性、包摂性)の取り組みから撤退することを公式に発表した。この概念を多くの企業が受け入れるようになったのはわずか4年前のことだったが、状況は大きく変わったようだ。

フォード・モーター・カンパニー(Ford Motor Co.)、ハーレーダビッドソン(Harley-Davidson)、ロウズ(Lowe’s)、ジョンディア(John Deere)、ジャックダニエル(Jack Daniel’s)のメーカーであるブラウン・フォーマン(Brown-Forman)、トラクター・サプライ(Tractor Supply Co.)、モルソン・クアーズ(Molson Coors)は、ヒューマン・ライツ・キャンペーン財団(Human Rights Campaign)が毎年発表する企業平等指数への参加を拒否したり、サプライヤーの多様性の目標を取りやめるなど、DE&Iの取り組みを多かれ少なかれ縮小する計画を発表している。

これらの決定は、ロビー・スターバック氏という保守派のインフルエンサーの影響もあるようだ。同氏は大企業の社内での包摂的な取り組みを「暴露する」と脅してきた。スターバック氏自身のX(旧ツイッター)への投稿によると、これらのブランドは同氏ならびにそのフォロワーからの反発を避けるため、DE&Iプログラムを縮小したのだという。

2020年のジョージ・フロイド氏死亡事件の後に、米国民は企業にアカウンタビリティー(説明責任)を要求するようになったが、昨今の反DE&Iはその流れが大きく変わったことを示している。だが「このうねりは、ここ数年でひと段落したようです」とダンカン・シャノン(Duncan Channon)のマネージングディレクター、クミ・クルーム氏は語る。

CMOアドバイザーでインクルーシブ・マーケティング・ストラテジストのローラ・バカレ氏は「DE&Iから撤退している企業は、そもそも最初から参加していなかった」と考えており、従業員は社内での変革を試みたものの「多くの摩擦に直面した」のではないかと言う。

「スターバック氏という人物が、その摩擦をポリシーへと変える機会を作ってしまいました。そして一人の意見が意思決定の原動力になると、誰も太刀打ちできなくなります」。

従業員は会社のDE&Iプログラムを支持するだけでなく期待を寄せていると、全米広告主協会(ANA)の「包摂的かつ多文化なマーケティング連盟(AIMM)」の共同設立者であるリゼット・アルスアガ氏は指摘する。AIMMとカルチュラル・インクルージョン・アクセラレーター(Cultural Inclusion Accelerator)の調査によると、人種、性別、性的指向などを包摂する公平な職場慣行を支援する意欲が「ない」、あるいは「まったくない」と回答したのはわずか6%だった。

現在の企業のDE&I撤退は「この国が進むべき方向、そしてこの国が進もうとしている方向とは逆に向かっています」と同氏は語る。

ディジタス(Digitas)のEVPで、顧客インクルーシビティー&インパクトの責任者を務めるダニシャ・ロマックス氏は「これは単なるモラルの問題ではなく、人に基づく問題。そして人々が商業やビジネスの原動力になっているのであれば、ビジネスに影響を与えるようなことから意図的に撤退することを、私たちは提唱も推奨もしません」と話す。

ブランドがDE&Iから撤退する理由

クルーム氏によると、企業がDE&Iの方針を転換しているのは、米国人が大統領選挙や中東情勢の悪化、経済的苦境に「あまりにも大きな不安や疲労を感じている」からだという。

その結果、企業はこれらの方針を目立たぬように撤回できると感じているのかもしれない。

またブランドは、特に対立の火種になりかねない選挙の年は、政治的だと消費者に思われることを避けたがる。「DE&Iに傾倒する取り組みは企業にとって、どちらかの側を支持しているように感じられます。実際にはまったく逆であってもです」とクルーム氏は付け加える。

昨年バドライト(Bud Light)がトランスジェンダーのインフルエンサーであるディラン・マルバニー氏とパートナーシップを結んで反発を招いた件に、マーケターたちは今も怯えている。しかし一部のブランドが「人々が反対して不買運動に発展すれば打撃を受けるかもしれない」という恐れからDE&Iを撤退するのは簡単だが、自分たちのコミットメントを貫くブランドは多様な消費者からの支持を維持することができると、オープン・インフルエンス(Open Influence)のアソシエイトクリエイティブディレクターであるジェム・ガルシン氏は考えている。

また、以前掲げていた価値観を撤回することは不誠実な印象を与え、消費者を混乱させる。

「自分たちのアイデンティティーや、自分たちが何を支持しているのかが曖昧なブランドは、表明する価値観をしっかりと持つブランドよりも常に弱く見えます」とガルシン氏は述べ、後者の例としてベン&ジェリーズ(Ben & Jerry’s)を挙げた。

若いオーディエンスを遠ざけてしまう

Z世代は、自分たちが買い物をするブランドが多様なアイデンティティーやコーズ(大義)を反映することを望んでいる。そして「自分たちにとって重要な方法で、積極的かつ継続的に表れてくれるブランドにお金を使うことを選びます」とロマックス氏は語る。

こうした包摂性を求める声に耳を傾けない企業は「自社ブランドのエコシステムを、文字通り無視することになります」と付け加える。

アルスアガ氏によると、「白人でヒスパニック系でない若者でさえ、豊かな多様性を期待している」とのことだ。「この国は変化しており、若い層ほど多様化が進んでいます」。

「我々は褐色人種化とゲイ化が進んでいます」とガルシン氏は指摘する。

ロマックス氏によると、ブランドは従業員の重要性や、「人々もブランドの一部であり、自分たちのために働く人々は最高の支持者である」ことをしばしば忘れがちだという。

「私たちはマーケティングを素晴らしいものにしようと、承認や文化的なインサイトを求めて外部に目を向けるのは得意ですが、異なるアイデンティティーを持ち、置き去りにされてきた少数派グループに属する従業員をないがしろにしがちです」。

「若い層に働いてもらいたいのであれば、そのようなことを考え始めなければなりません」とアルスアガ氏。「そして、今働いてくれている人だけでなく、将来的に誰を雇うことになるかということも考えなければなりません」。

マーケティングへの反響は小さくなる

DE&Iプログラムや取り組みを後退させることは、多様な従業員や企業文化だけでなく、最終的にはマーケティングにも影響を及ぼすと、マーケティングの専門家は警告している。

「ブランドは、多様なオーディエンスにリーチするためには、マーケティングにおいて包摂性の体面を保つ必要があることを十分に理解しています」とガルシン氏。「しかし、マーケティングチーム自体が多様でなければ、オーディエンスに本物のストーリーを伝えることはできません」。

アルスアガ氏はAIMMのカルチュラル・インサイト・インパクト・メジャー(Cultural Insights Impact Measure)を例に挙げる。消費者向けパッケージ商品(66%)のような安価なカテゴリーであろうと、自動車産業(55%)のような高価格帯のカテゴリーであろうと、企業文化がキャンペーンの成功の大きな要因であることを、この指標は明らかにしている。

「企業文化を正しく理解できなければ、消費者とつながる能力の大部分と、ブランドが成長する能力の大部分を失うことになります」。

これは、大規模なキャンペーンからソーシャルメディアのコンテンツに至るまで当てはまる。ソーシャルメディアで最近流行している「#demure(デミュア)」は、黒人トランスジェンダー女性のジュールズ・レブロン氏が生み出したものだ。また、「brat summer(ブラットな夏)」の火付け役であるチャーリーXCX氏はインド人で、クィアのファン層を持つ。

文化的なトレンドは、黒人やLGBTQ+の人々が生み出すことが多い。こうしたコミュニティーから公然と距離を置くブランドは、このようなバイラルトレンドを活用できなくなる。

「文化を形成する役割を果たすことは、ブランドの責任の一部です」とバカレ氏。

エージェンシーには依然として、ピッチの中でDE&Iの指標や取り組みを開示することが求められているため、ブランドはこうした盲点への対処をエージェンシーパートナーに頼むことができる。「エージェンシーがDE&Iへのコミットメントを理解し、それが表現されているか確認することは要件の一部」とクルーム氏は言う。

また、ブランドは炎上を回避し「DE&I主導のマーケティングや戦略を賢く効果的に実行することで、年間収益にプラスの影響を与える」こともできるとバカレ氏は述べ、その例としてe.l.f.ビューティー(e.l.f. Beauty)を挙げる。

「結局のところe.l.f.ビューティーを使用する人々は、ジョンディアが事業を展開している地域に住んでおり、ジョン・ディアの製品を使用する人々の家族の一員です。彼らは米中西部にも住んでいるのです」。

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