* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。
今年のサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)のプログラムは、政治環境が不安定な中でLGBTQ+コミュニティー(特にトランスジェンダーの権利)への支持が全国的に後退していることを反映したものだった。
マーケティングや広告におけるクィアの存在感を高めることを目指すNPO「ドゥ・ザ・ワーク(Do the WeRQ)」の分析によると、9日間におよぶSXSWでLGBTQ+に特化したパネルやセッションの数は、2023年と比較して今年は3分の1減少し、20から13になった。SXSWがLGBTQ+のプログラムを1つのハブにまとめたのは今年が初めてだった。
SXSWのプログラムは、ほとんどが参加者によって決定される。参加者はSXSWのパネルピッカー(PanelPicker)という プラットフォームを使って、最も魅力的だと思うセッションに投票する仕組みだ。
プログラムで扱われるLGBTQ+のトピックも変化し、反トランスジェンダーにまつわる暴力をジャーナリストがどのように報道できるかを探るセッションを除くと、トランスジェンダーの権利に関する議論はかなり少なくなった。
「昨年は、トランスジェンダーのアイデンティティーや経験、トランスジェンダーを受け入れる職場の作り方など、多くのパネルがありました」と語るのは、オースティンに本拠を置くエージェンシー「GSD&M」のデジタルメディア・ディレクター、デライラ・グラス氏だ。「今、そのような種類のセッションは見当たりません」。
トランスジェンダーのインフルエンサーであるディラン・マルバニー氏も、パネルセッションに登壇。ヘイトと戦う上でのブランドとメディアの役割について幅広く議論するセッションで、コミュニティーへの支援が低下していると訴えた。バドライト(Bud Light)の名前を出すことはなかった。
昨年マルバニー氏とバドライトのパートナーシップで巻き起こった炎上は、米国でトランスジェンダー・コミュニティーに対する反感が高まっていることを浮き彫りにした。そして多くのブランドがLGBTQ+への支援から撤退し、2023年にLGBTQ+への取り組みを減少させる原因となった。
ドゥ・ザ・ワークの共同創業者で、ルパイン・クリエイティブ(Lupine Creative)の創設者兼CEOでもあるケイト・ウォルフ氏は、バドライトの件が「他の人たちの間に不安を生み出した」と言う。
「その不安はSXSWのプログラムだけでなく、6月のプライド月間に対する人々の取り組み方全般にも広がっています」。
トランスジェンダーの権利は、大統領選挙に向けた共和党の重点政策となっている。テキサス州は反トランスジェンダーの運動が最も盛んな州で、昨年は18歳未満が二次性徴抑制剤やホルモン療法、手術などの性別適合治療を受けることを禁止する上院法案14(S.B.14)が可決した。
SXSWの開催地がテキサス州であることは、同州でLGBTQ+の権利縮小に正面から向き合う機会を与えるもので、これは中絶の権利について議論するセッションも同様だ。むしろ、これらの論点は人々の意識の片隅に留まり「口の端に上った」と、オースティンを拠点とするフリーランスのPR・コミュニケーションコンサルタントで、ドゥ・ザ・ワークの共同設立者でもあるグラハム・ノーラン氏は言う。
同氏によると、テキサス州にありながらリベラル派が多いオースティンに住む人々は「バブルの中で安全だと感じている」ため、州の法律についての議論が十分になされていないという。
GSD&Mで最高インクルージョン責任者を務めるキーシャ・タウンゼント・タイト氏によれば、テキサス州の中絶禁止法と反LGBTQ+法は、同州で企業が優秀な人材を確保し惹きつける力に影響を及ぼしているという。
「現在働いている従業員の間でも、採用の過程でも、そのようなことが話題に上ります」と同氏。「特定の地域やコミュニティーにおいて自分の権利がないがしろにされていると感じる人は、そこでのポジションに就く可能性が低くなります」。
GSD&Mのグラス氏はトランスジェンダーの息子を持つ親として、テキサスのトランスジェンダー・コミュニティーに対する反感の高まりを個人的に体験している。今こそ、トランスジェンダー・コミュニティーは企業による発言や支援を必要としていると語る。
「政治の世界で起こっているさまざまな出来事によって人々が一歩引くようになりましたが、当然のことながら、このような時こそもっと踏み込んでもらいたいものです」。
そして「私のような家族、すなわちトランスジェンダーの子を持つ同性の親が幸せではつらつとし、人生にわくわくし、将来のことを考えているような様子を、積極的に取り上げるブランドを見てみたいのです」と付け加える。
LGBTQ+コミュニティーが攻撃されていないときの方が支援しやすいとブランドは考えるかもしれないが、そのような考え方は真の支援者であることの本質を見誤っているとウルフ氏は言う。
「私たちのコミュニティーは今、傷ついています。私たちのコミュニティーは今困っており、トレンドになっているわけでも、楽しいわけでも、祝福されているわけでもありません」と同氏。「ブランドは立場を表明し、私たちと共にこの現状を食い止めてほしい。私たちはいつも、自分たちの立場を守ろうとしています」。
企業はその力を行使して社会に前向きな変化をもたらすべきだと、ほとんどの米国人が考えているが、多くは企業が政治の世界に足を踏み入れることへの意欲を失っている。 ベントレー大学(Bentley University)とギャラップ(Gallup)による2023年の調査によると、「ブランドは時事問題に対して公的な立場を表明すべき」と答えた回答者はわずか41%で、2022年の48%から減少している。しかし、この結果は党派によって大きく異なる。民主党員の62%は、企業が立場を表明することに賛成と答えたが、共和党員はわずか17%、無党派層は36%であった。
「わざわざ雄牛の前で赤旗を振る必要はない」
広告業界の重役たちは、ブランドが今年もLGBTQ+コミュニティーについて沈黙を守るだろうと予想している。マルバニー氏がパネルセッションで語ったように、今年のプライド月間は昨年と同様、寂れたものになる予兆があるからだ。
ルパインは、ストリーミングのプラットフォーム「マックス(Max)」のような企業のためのLGBTQ+に焦点を当てたアクティベーションで定評があるが、ブランドが「より不安定になっている」ことで仕事が減少。同社が昨年受けたプライド月間関連のRFP(提案依頼書)の数は、例年の半分だったという。
「彼らは今、声高に主張する価値は無いと考えているのです」とウォルフ氏。「表立って活動することが安全で、より多くの資金が得られる環境であると感じられるようになるまで、静かに支援したり、何も支援しないという選択もあります」。
同氏は現在の状況を「文化面でもマーケティング面においても、本当に居心地の悪い時期」だと表現する。
企業からの支援が下火になる一方で、コミュニティー支援を粛々と続けるブランドもある。
マスターカード(Mastercard)の最高マーケティング・コミュニケーション責任者(CCO)であるラジャ・ラジャマナ氏によると、同社は「仰々しく」取り組むことはせず、「自分たちの信念にもとづいて静かに実施する」傾向があるという。同社では、自分で選んだ名前をカードに記載できるようにする2020年の「True Name」など、プライド月間に向けたキャンペーンを実施する一方で、長年助成金やプロダクトデザインを通じてLGBTQ+コミュニティーを支援してきた。
この「分断された世界」において、コミュニケーション戦略は「スマートでなければならない」と語る。
「リスクがあると分かっていて、わざわざ雄牛の前で赤旗を振る必要はありません」とラジャマナ氏。「そのことを話題にはしないが、良い取り組みは止めません」。
ウォルフ氏にとって、コミュニティーへの一貫した支援は「プライドキャンペーンと同等か、それ以上に強力なもの」だ。反発を恐れるブランドは、他の方法でアライシップを示すことができると言う。
「今は何もしないことが最善だという、誤解があります」とタウンゼント・タイト氏。「声明を出したり行動を起こすることだけでなく、活動しないということにもリスクがあると、ブランドは理解する必要があります」。
ノーラン氏も「主な敵はヘイトではなく、アライの不安定さが引き起こす停滞です」と付け加える。
映画やテレビでのクィア・ストーリーテリングの興隆
今年のSXSWでは、コミュニティーにとって明るい話題もあった。クィアを描いた映画の上映数が、2022年の3本から今年は20本へと大幅に増えたのだ。
クィアのストーリーテリングの興隆によって、ブランドは必ずしも大々的なキャンペーンを行わなくてもコミュニティーと連携することが可能になる、とグラス氏は言う。
「すると、政治的な問題にかかわらず、私たちをサポートできる簡単な方法を、ブランドが見つけられるようになるでしょう」。
Campaign USはSXSWの主催者に連絡を取り、LGBTQ+に関するプログラムの減少はコミュニティーに関するパネルセッションの応募や投票が減ったためかと尋ねたが、SXSW側からの回答は得られなかった。