オールブラックス(ラグビーニュージーランド男子代表)が体を張ってリスクに立ち向かう、AIGジャパンのCMシリーズ。初回は街の人々に迫る危険を選手たちが体当たりで救い、続く第2部では差別という「敵」に立ち向かった。
先日公開された最新作は、日本を訪れた外国人旅行者が運転する際に気を付けるべき交通ルールを紹介するというもの。「左側走行」「一時停止の標識は三角形」など、知らずに違反すれば即座に命にかかわる交通ルールや、外国では許されていることもある「二輪車のヘルメット未着用」「赤信号での右折左折」などの禁止、さらには交通整理ロボットのセルフィー撮影を禁じるものまで、全8種類が紹介されている。
AIGは2012年からニュージーランドラグビー協会とのスポンサー契約を締結しており、ラグビーのワールドカップがこの秋、日本国内12の試合会場で開催される。来年には東京五輪も開催され、日本を訪れる外国人旅行者は大幅に増加すると見込まれている。
昨年の訪日外国人旅行者は3,119万人で、政府は2020年に4,000万人という目標を掲げているが、これは日本の人口の約1/3にあたる。ルールや文化の違いから起こるトラブルへの対応は、大きな課題だ。
そこでAIGは交通ルールを紹介する動画の他、飲食店や旅館、小売店で想定されるシーンを日本語と英語で説明したマナー集のカード、さらには外国人とのギャップを日本人が把握するためのウェブ検定も用意した。
「グローバルな視点と、日本の顧客の深い理解に基づくサービスによって、日本での営業を拡大してきた」ことが、日本の個人や企業を「2019年秋、2020年、その先に向けてサポートするこのアイデアにつながりました」と、AIGジャパンのマシュー・ウォーカーSVPはコメントしている。
企画・制作はTBWA HAKUHODO(都内)を中心に、TBWAメルボルン(豪州)、Lew’Lara TBWA(ブラジル)とのチームで担当した。
なお、この動画の撮影に潜むリスクをどのように回避しているか、撮影現場の様子を収めた動画も併せて公開されている。
Campaignの視点:
ラグビーワールドカップ開催がいよいよ目前に迫る中、ラグビーファンの中で抜群の知名度を誇るオールブラックスを起用した動画は、ラグビー観戦で訪れる外国人の注目を集めることとなるだろう。
命にもかかわる安全情報を確実に伝えるため、コミカルさも交えながら表現した点は、航空機の機内安全ビデオとも共通する。近年は工夫を凝らしたビデオを制作する航空会社が増えており、昨年末はANAが歌舞伎をテーマにしたビデオにリニューアルした。
(文:田崎亮子)