株取引が身近なものになるよう、アナリストによる予測を個人投資家に分かりやすく伝えるアプリ「FIGS」が7月5日、日本で公開された。
日本は個人投資家が非常に少ないマーケットだが、最近は増加傾向だ。今年2月には電通が、アナリストがテーマ別に選んだ企業に手軽に投資できるサービス「フォリオ」に出資している。
FIGSは月額1,950円で利用が可能。ローンチ発表後のインタビューでCEOのユージン・オング氏は、今後のターゲットは中国と米国のユーザーだと語った。シンガポールに本拠地を置くFIGSが日本でサービスを開始したのは、日本は高度に発展した金融市場であるにも関わらず、グローバルな投資情報に個人がアクセスすることが困難であるためだという。
FIGSのポジショニングは「シンプルで簡単に操作できる」こと、付加価値を与えること、そしてグローバルである点にある、とオング氏。主にターゲットとしているのは30代で、もっと上の世代と比べて投資への必要性を強く感じているという特徴がある。
またこの層は、自ら調査し、何に投資するかを自分で決断することを望む。しかし、そもそもどのように始めたらよいか分からない、ネット上の情報の取捨選択が難しい、時間が無いなど、さまざまな障壁が立ちはだかっているという。
そこでFIGSでは、7カ国のアナリスト2,300人による予測情報を提供。特に、各アナリストの予測した株価と実際の株価を比較し、精度をスコアリングするシステムが、このサービスのセールスポイントだ。
「私たちが目指すのは、投資を“民主化”すること」と同氏。「投資は難しいと考えている若い世代の、障壁を取り払いたいのです」
FIGSブランドの認知力向上については「何らかのデジタルメディアへの露出」を考えているという。当面のところはSBI証券をパートナーとして、投資への関心がある人たちに訴求し、ユーザー獲得に努めていく。
編集後記:
日本で投資サービスが活気付いているものの、明白なマーケティングやブランディングはまだ数少なく、平均的な生活者があらゆるレベルで投資に興味を持てるよう促す施策はごく僅か。フォリオの創業者である甲斐真一郎氏は、今年初めのインタビューで「例えばライブイベントのような、テーマと関連するコンテンツ」を生み出し、投資家たちが直接出会ってプロダクトに触れられるような場を設けていくと語っていた。既に同サービスを使っているユーザーには効果的だろう。だが、投資そのもののコンセプトに共感を持てるようなコミュニケーションこそが、まずは大切ではないだろうか。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)