* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。
今年4月、ヴィクトリア・ベッカムはロンドンで大々的なバースデーパーティーを開き、新しい「50歳像」を披露した。スリッパの代わりにスティレットヒールを履き、紅茶の代わりにテキーラを煽る。興じるのはブリッジではなく、バリーズ・ブートキャンプだ。
だが、我々クリエイティブエージェンシーがブランドから受け取るブリーフは、ほぼ全てがZ世代かα(アルファ)世代をターゲットにしている。
50歳の誕生日にはしゃぐセレブリティーを嘲笑する人たちもいるだろう。彼女は年相応に振る舞うべきだ、と。だが、私は彼女を支持する。年齢差別のステレオタイプに逆らって楽しむのは、いいことだ。
私ももうすぐ50歳で、まだランニングイベントには十分参加できる。だが、仕事をしたいと思っているブランドからは「適任」とは思われていない ―― 最近はますますそう感じるようになった。
データは明確に物語る。我々は中高年の視聴者をターゲットにしたメディアには支出をせず、広告で彼らを表現していない。ITVと市場調査会社システムワンの調査によると、55歳以上のキャラクターを起用した広告の割合は23%に過ぎない。
だが、団塊の世代とジェネレーションXに大きな経済力があることを忘れてはならない。55歳以上の年齢層は英国の人口の34%だが、富の60%を保有し、消費支出の47%を占める。
マーケティングエージェンシー「エニシング・バット・グレイ」は、「こうした高齢者層を無視することはブランドマーケティング上、理に叶わない」と唱える。ブランドはあまりにも長い間、50代以上の人々のニーズを無視し、彼らの態度や行動を勝手に決めつけてきた。
私が担うエクスペリエンスマーケティングのチャネルでも、全くと言っていいほど同じようなことが起きている。ブリーフは35歳以下の消費者をターゲットにしたもので溢れ、それ以上の年齢層を狙ったものはほとんどない。エクスペリエンス及びイベント専門のエージェンシーの調査では、45歳以上のオーディエンスを対象としたブリーフは10%にも満たなかった。
だが中高年層は好奇心が旺盛で、自信にあふれ、お金で若さを保つ手段を求めている。では、なぜこの層は敬遠されるのか。いくつかの課題があるに違いない。
イノベーションの世界では、若年層はより実験的で、新しいアイデアを受け入れるという認識がある。今日の新し物好きは、a-ha(80年代にヒットを飛ばしたノルウェーのポップバンド)を見て育ったわけではない。もしあなたがそう考えるなら、若者をターゲットにするだろう。だが、私は違う。世代に特化したプロダクトはあれど、私の世代が新しいものに挑戦したがらないとは思わない。
我々が若者の多い業界を築いてきたことも確かだ。この業界の平均年齢は36歳。医学や法律、あるいは金融の世界には当てはまらないだろう。
私は毎日職場で様々な音楽を聴き、自分の考えにチャレンジしている。誤解を恐れずに言うなら、そんなルーティーンが大好きだ。だが、数の多い若年層によってエコーチェンバー現象が起き、経験値が忘れられ、人々の認識が偏る危険性は否定できない。私の感覚では、クライアントと代理店の年齢層がより若くなるBTL(Below The Line、マスメディア4媒体以外の広告や施策)では、そのリスクはさらに大きくなる。
おそらくマーケティングやメディアは、高齢者よりも若い消費者が勝っている理論的な生涯価値の仮定で結論づけるのだろう。つまりこれは、長期的ビジネスチャンスを大きく見せるために作られた数字なのだ。しかし、1つ欠陥がある。若い消費者があなたの企業の製品を買う金銭的なゆとりがなければ、生涯価値も何もない。「明日の百より今日の五十」だ。
エクスペリエンスの世界には、若年層にアピールしようというブランド向けの場やイベントが溢れている。年配のオーディエンスに適した場を見つけるのは難しい。もちろん、例外もある。レースの復刻イベント「グッドウッド・リバイバル」や音楽祭「ラティテュード・フェスティバル」などだが、数は少ない。しかし、オーディエンスがいる限りブランドは集まるのだ。
マーケティング業界は、離職者を減らす手段を見つけねばならない。中高年層はクリエイティブの「スーパーパワー」であり、新しい発想の妨げにはならないとみなすべきだ。多様性のあるチームこそが、破壊的思考を生み出す。
クライアントサイドも、十分なサービスを受けていない市場があることを再認識すべきだ。そこに属するオーディエンスは、ブランドとのエンゲージメントの機会を待っている。私は、デモグラフィックよりもサイコグラフィックにより注力することをお勧めしたい。
若年層オーディエンスへのアプローチこそが、ブランド構築の近道と考えてはいけない。年齢を問わず、我々は想像以上に多くの共通点を持っていることを忘れないでほしい。
ルパート・ピック氏は英エクスペリエンスエージェンシー「ホットピックル」の共同設立者で、グローバルマネージングパートナーを務める。