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出資打ち切りのVOA、1300人超が休職に
トランプ政権が、米国が出資する国際放送機関への資金提供を打ち切った。政権が進める経費削減の一環で、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)、ラジオ・フリー・アジア(RFA)、ラジオフリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティー(RFE/RL)などが対象。これらの組織はいずれも、報道の自由が厳しく制限されている国の人々にニュースを提供してきた。
VOAは1942年に設立し、現在は約50の言語で放送されている。予算凍結を受け、VOAでは1,300人以上の従業員が休職を命じられた。VOAのディレクターであるマイケル・アブラモヴィッツ氏はリンクトインに「83年間で初めて、歴史に名高いボイス・オブ・アメリカが沈黙させられることに深い悲しみを覚えます」と投稿している。
国境なき記者団もこの決定について「情報の自由を擁護するという米国の歴史的な役割から逸脱するもの」と批判し、VOAの復活を求めて議員などに再考を促すという。
またVOAを傘下に持つ米グローバルメディア局(USAGM)は、AP通信、ロイター、AFP通信との長年の契約を「高額かつ不必要」として解除した。
オムニコムとIPGの統合、両社の株主が承認
米オムニコム(Omnicom)が米インターパブリック・グループ(Interpublic Group、以下「IPG」)を買収する件について、18日に両社の特別株主総会で投票が行われ、「圧倒的多数からの承認」が得られた。
オムニコムのCEOであるジョン・レン氏は声明で「重要な節目を迎えることができることを大変嬉しく思います。株主からの強力な支持は、この統合の魅力的な価値提案や、それが従業員やクライアントにもたらす最先端のサービス、製品、プラットフォームを裏付けるものです」とのコメントを発表した。
IPGのフィリップ・クラコフスキーCEOも「株主がインターパブリックとオムニコムの提携に大きなチャンスを見出していることは、圧倒的多数が統合に賛成票を投じたことからも明らか」と語る。「彼らの承認は、今後何年にもわたって大きな価値をもたらす、業界で最もダイナミックで、顧客にフォーカスした前向きな組織を作るという当社の大きな可能性を反映しています」。
一方、米連邦取引委員会(FTC)は特別株主総会に先立ち、買収に関する情報の提供を両社に求めた。オムニコムによると、求められたのは「買収に関連した追加の情報と資料の提出」で、これは「規制に関する標準的なプロセスの一環」とのことだ。買収手続きは今年後半の完了を予定している。
メタ、米国でコミュニティーノートを試験導入
今年1月に第三者によるファクトチェック(事実確認)を米国で廃止すると発表したメタ(Meta)が、コミュニティーノート機能を試験導入する。
同社のブログによると、米国在住の18歳以上が登録でき、フェイスブック、インスタグラム、スレッズの投稿に対して注釈を付けられるようになる。論拠となるリンクを添えて500字以内で書き込み、有益な情報であると他のユーザーから評価されれば公開される仕組みだ。
ターゲット層「親」の67%に子どもがいない? Adlook調べ
アドルック(Adlook)が米国で1,325人を対象に実施した調査によると、ターゲティングで想定していた層と、実際のオーディエンスの構成には大きな乖離があった。
例えば18~24歳の女性として設定されたターゲットのうち、実際にその属性に該当したのはわずか18%で、43%が男性、61%が24歳以上(35%が55歳以上)だった。
さらに、子どもを持つ「親」として設定されたターゲットの、67%に子どもがいなかった。「既婚者」として設定された人のうち76%が既婚ではなく、「母親」とされたターゲットの半数以上(52%)が男性だったという。
アドルックの最高製品責任者であるマテウシュ・ジェドロカ氏は「従来のメディアバイイング戦略と、パネルなど限定的なオフラインツールでは、複雑な消費者を『20~40歳の女性』といった大雑把なカテゴリに押し込めてしまいます」と述べる。「これは、消費者の実際の関心や行動に基づいたターゲティングができる今日のデジタル時代においては不要です」。
また、調査で検証されたインプレッションの55%が複数の年齢グループに誤って分類されたり、35%が男性セグメントと女性セグメントの両方に属していたなど、重大なエラーも見られた。
「社会人口統計学的なターゲティングが正確性に欠くという、多くの人が指摘することを恐れる重大な問題をこの調査結果は浮き彫りにしています。しかしこれは単にデータの正確性の問題ではありません。時代遅れで短絡的なオーディエンスの定義から脱却することが大切です」。
【お知らせ】
アジア太平洋地域で最大級の広告祭「スパイクスアジア2025」のショートリスト(最終候補)が発表されました。2,759件の応募の中から最終候補に最も多く残ったのはインドと豪州で、日本がそれに続きます。詳しくはこちら(英語)をご覧ください。
(文:田崎亮子)