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ジャック・モートン、日本市場で年末までに収益倍増を目指す
インターパブリック・グループ傘下のブランドエクスペリエンスエージェンシーであるジャック・モートン(Jack Morton)が、都内に新オフィスを開設した。アジア太平洋地域では既にシンガポール、メルボルン、シドニーにオフィスを構えており、東京オフィスの開設でアジア太平洋での事業を拡大していく。2024年は日本での収益が前年比で50%増加した。今年はイベントプロデューサーとクリエイティブ職を少なくとも5名採用する予定。
ゼネラルマネージャーに就任する荷宮万裕美氏は、イベントマーケティングを手掛けるMCIジャパンでゼネラルマネージャーを務め、日本で多国籍クライアント向けのアクティベーションを15年近く担当してきた。
アジア担当シニアバイスプレジデントのフィル・ボイル氏はCampaignの取材に応じ、「日本は現在、当社にとって極めて重要な市場で、2025年末までに日本での事業の倍増を見込んでいます」と語った。「アジア全域での事業拡大に欠かせない素晴らしい人材を見つけることが急務です」。
同社はライブイベントやファンエンゲージメントに注力しており、市場のサブカルチャーやファンダムへの理解が強みだという。「日本独自の文化やファンダムに幅広く取り組み、ブランドが日本のオーディエンスと真のつながりを構築するお手伝いをしてきました」とボイル氏。「当社が重視しているのは単なるクリエイティブ思考ではありません。日本に特化したクリエイティブ思考です」。
グーグルへのChrome売却要求、トランプ政権でも変わらず
米司法省が昨年11月グーグル(Google)に対し、34.5億人が使うブラウザ「Chrome」を独占解消のため売却するよう求めていたが、トランプ政権でもこの姿勢は変わらないようだ。
3月7日に提出された改訂案は、Chromeの「迅速かつ完全な売却」を求めた他、同社の検索エンジンがプリインストールされるための支払いも停止するよう要求している。
だが、中には緩和されたものもあり、AIへの投資を売却するようにという当初の要求が、改訂案では事前通知を求めるのみに。Android(OS)の検索やPlay(アプリストア)からの切り離しについては、Androidのエコシステム内での優遇を防がなければ売却もあり得ると示唆した。
ユニリーバ新CEO、ソーシャルメディアへの投資を大幅増へ
ユニリーバ(Unilever)のCEOに就任したばかりのフェルナンド・フェルナンデス氏が、ステープルズ(Staples)で欧州の生活必需品調査の責任者を務めるウォーレン・アッカーマン氏との対談の中で、マーケティング費に占めるソーシャルメディアへの支出を30%から50%に増やし、20倍のインフルエンサーと提携する考えを表明。かつての上司の「意識的に競争力をなくすことは重罪」という言葉を引用し、競争力を維持できるよう投資をしていくと語った。
また、「企業からメッセージを発信すると、懐疑的な目で見られます」とも指摘する。「インフルエンサー、セレブリティー、ティックトッカーなど他の人がブランドについて大々的に代弁してくれるマーケティング活動の仕組みを作ることが非常に重要です」。インタビュー全編はこちら(英語)。
WPPとベイン、カンター・ワールドパネルの売却を検討
WPPとベインキャピタル(Bain Capital)が、カンター・ワールドパネル(Kantar Worldpanel)の売却を検討していると、フィナンシャル・タイムズが報じた。
カンターは世界最大級の市場調査会社の一つで、従業員数は世界で35,000人以上。ワールドパネル部門は消費者データに関する数多くのインサイトを提供している。WPPは2019年にカンターの株式の60%をベインキャピタルに売却し、現在40%を保有している。
ハヴァス、通年のオーガニック成長率は-0.8%
ハヴァス(Havas)が、ヴィヴェンディ(Vivendi)からの分割以来初めての決算を発表した。純収益は通期で27.4億ユーロ(約29.5億米ドル)で前年比+1.5%、オーガニック成長率は-0.8%。地域別では、欧州(前年比+1.2%)、アジア太平洋(同+1.1%)、中南米(同+14.7%)で成長したが、北米は-6.6%だった。
ハヴァスの決算発表は広告大手6社の中で一番最後だった。2024年通年のオーガニック成長率はピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)が+5.8%、オムニコム(Omnicom)が+5.2%、インターパブリックが+0.2%、電通グループが-0.1%、WPPは-1.0%。
ハヴァスのヤニック・ボロレCEOは「2024年はハヴァスにとって、ユーロネクスト・アムステルダムへの上場が成長し、グローバル戦略『コンバージド(Converged)』が始動するなど、財務面での実績や変革における歴史的な年となりました」とコメント。「ハヴァスは2024年の計画をすべて達成し、高い敏捷性を発揮しました。デジタル、小売、顧客体験、デザイン、戦略アドバイザリーといった急速に拡大している分野でチャンスをとらえながら、データ、テクノロジー、AIへの投資を増やし、大規模コンテンツの世界的なネットワークの強化に注力しています」。
(文:田崎亮子)