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9 時間前

エージェンシー・レポートカード2024:Dentsu Creative

持株会社は減収となり、成長も鈍化。それでもDentsu Creativeは、質の高いクリエイティビティーの追求に余念がない。

エージェンシー・レポートカード2024:Dentsu Creative

* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。 

Dentsu Creative(以下、DC)の親会社である電通とってこの1年は激動の年だった。経営陣は大幅に交代し、財務も逼迫。とりわけ世界全体で8億2000万ドルの赤字、アジア太平洋地域APAC)のオーガニック売上高はマイナス7%実に憂慮すべき結果となったしかしAPACでは文化性で強みを発揮し、戦略も野心的だアドビはDCグローバル・リード・クリエイティブ・アンド・コンテンツ・エージェンシー選出。その結果、アウディFAW NEV中国)やモトローラソニー・エンターテインメント・テレビジョン(いずれもインド)といったクライアントを獲得した

また、人材の強化も進める。主要市場では複数の上級幹部を採用。インドでは8人のクリエイティブディレクター、マレーシアとシンガポールでも新たな幹部を任命した。クリエイティブ面ではAPAC最も優れたエージェンシーネットワークとしての期待に最低限応えたと言えるカンヌライオンズだけでなく、インドの「キューリアス(Kyoorius)・クリエイティブアワード」やタイのアドフェスト(AdFest)」といった地域の広告賞でも大きな存在感を示した。 

しかし課題も残る業績不振で、電通のクリエイティブ部門は大きなプレッシャーを受けるグローバルな組織再編収益性の精査も進行中でDCは岐路に立今後は優れた作品の提供だけでなく各地に点在するクリエイティブの才能を結集し、統合的業務体制を構築することで、戦略的な強みを発揮していくべきだろう

評価方法についてはこちらから 

強み(STRENGTH) 

親会社・電通にとってはタフな1年であったにもかかわらず、吉報もアドビは、デジタルメディア事業の「グローバルクリエイティブ・アンド・コンテンツージェンシーとしてDCを選さらに中国ではアウディFAW NEVサーチ・アンド・サーチと協業)インドではモトローラ、ソニー・エンターテインメント・テレビジョン、ポパイズ(米・フライドチキンチェーン)といった主要クライアントを獲得した。 

新たな人材も採用。インドでは8人のクリエイティブディレクター任命し、昨年からインドでクリエイティブの指揮を執るサージョ・ダット氏の直轄となった。新しいクリエイティブリーダーを配したのは、より実践的なDIY文化を育むためだマレーシアではウダイ・デサイ氏シンガポールではフィオナ・フアン氏などを任命地域での存在感強化を目指す

クリエイティブ面ではもオーディエンスや広告賞の審査員たちを魅了するD&ADでは日本やオーストラリアの作品を含め、22本のペンシルを受賞またDCチャイナCampaign主催のエージェンシー・オブ・ザ・イヤー2024グレーターチャイナ・クリエイティブ・エージェンシー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。「仁愛チャリティー」との共同制作Lost in Timeアルツハイマー病への認知を高めるものでカンヌライオンズのブロンズを受賞中国のエージェンシーとして2年連続の受賞となった

モトローラのキャンペーンは、インドのキューリアス・クリエイティブ・アワードで最優秀賞を受賞した

DCインドネシアは今年のアドフェストで同国のエージェンシーで最も多くの賞を獲得高速道路運営会社ジャサマルガのキャンペーン「Wakeupads Microsleep breaker」ではインドネシア最大の広告賞「チトラ・パリワラ(Citra Pariwara)」で金賞を獲得した。 

電通は社会課題の解決と事業目標を両立させるB2B2Sbusiness-to-business-to-society企業を目指す2040年までにグローバルバリューチェーンで温室効果ガス(GHG実質排出量をゼロにするのが目標。2030年までにスコープ1〜3GHG排出量を少なくとも46.2%、2040年までに90%削減2019を目指す。また豪州では2025年までに上級管理職の半数を女性にする目標を掲げている。 

弱み(WEAKNESS) 

ロブ・ギルビーAPAC CEO離職をはじめ、人材の流動が激しかったこの1素晴らしい業績は期待できないにしても、82000万ドルという赤字額さらに主要エージェンシーが成長機会のハブと見込むAPACオーガニック売上がマイナス7%というのは極めて憂慮すべき数字だ。電通は年次報告書の中で、成長を再び促すために重点的に対策を講じたが売上高は予想を下回った記した

顧客体験管理(CXM)が期待外れの結果に終わったことで、インドでこの分野を担当するたな幹部の実力が試される。同社によるとCXMは通年で2桁のオーガニック減を記録、特に豪州では顕著だった。2024年度は中国のクライアントのコスト削減で、引き続きマイナス豪州ではトヨタ、最近ではKマートという主要クライアントを失った

サステナビリティーについては、豪州と日本以外での取り組みに関する情報が入手しにくく、各地域のウェブサイトでもサステナビリティーに関するセクションは設けられていない。 

機会(OPPRTUNITIES) 

DC様々な市場の主要企業から中小企業まで、幅広いクライアントを対象に業務を展開豊富な人材力とクリエイティブの潜在力を示すまた、毎年発表するCMO調査レポート」Z世代トレンドレポート、信頼のおけるソートリーダーシップとしての地位も確立。こうした取り組みは、未来のコミュニケーションの礎となる

うした潜在力をより最大限引き出すためには特にAIなどの最先端技術を駆使したツールの活用に一層注力する必要があろう。その好例はDCマニラが製作したキャンペーンFace of Courage」この作品はAIを用い家庭内暴力の被害を受けた女性の顔を再現して視覚化テクノロジーの感情的表現力を示しただけでなく、同社がクリエイティブの使命として掲げる社会課題の解決にも合致させたまた、他社との差別化も促しイノベーションがいかに文化社会と深く関われるかも再認識させる

うした分野にさらに注力すれば、DC明確な強みとなろう「WPPオープンプラットフォーム」のようなテクノロジーによるソリューションの統合や自社開発によるマグロ品質判定AITunaScope」のようなイノベーションの展開(日本発で現在インドネシアも活用広げれば、真にイノベーティブなクリエイティブネットワークになり得る研究開発やイノベーションに関する電通本社の豊富な情報量を活用し、その能力をAPACに拡大すれば、エージェンシーとしての強固な基盤を築けるだろう。 

APAC市場が求めるのは、テクノロジーを活用しつつ文化的に共感できる作品だ。企業規模の大きさや人材の多様性、先進的なソリューションへの取り組み、そして「One Dentsu」の理念を組み合わせられればDC再びAPACで優位性を確立できるだろう。

脅威(THREATS) 

DC卓越した能力にもかかわらず、APACで構造的課題を抱え競争力維持が課題だ持株会社の業績不振が日本国外のネットワークのクリエイティブな野望」の足かせとなっていることは否めない

電通の中期経営計画では、戦略的に日本と米国に主眼が置かれ、メディア事業がクリエイティビティーよりも優先されているつまりインドや中国、タイ、豪州、ニュージーランドといった成長投資が求められる市場でリソースが制約されかねないDC複数のグローバル企業を買収して形成された比較的新しいネットワークで、現在も再編で業務が混乱しその立ち位置は安定性に欠ける

さらにオムニコムとIPGの合併が迫BBDO、マッキャン、FCB、TBWAといった有力なクリエイティブエージェンシーの統合により、こうした課題はさらに深刻化する。これらのエージェンシーはAPAC既に高い評価と市場シェアを獲得。今回の合併でより豊富なリソース、より大きなスケール、より強力なクリエイティブを備えた強敵が誕生することになるDCまだポジショニングを確立できておらず、結束力の強さも証明できていない。 

さらに2027年までの中期経営計画を進める中で、業績不振の部門の最適化人員削減を示唆人材の再編や現在進行形のレイオフ、クリエイティブへの不十分な投資が競争力に欠かせない「勢いを削ぐ可能性があ不確実性は拭えない規模の大きさやクリエイティブの一貫性を日本国外ではっきりと示すことができなければグローバルプレイヤーたちと互角に渡り合うことは難しいだろう

アドビ
モトローラ 
ポカリスエット 
アウディFWD NEV 
フレッシュチョイス(スーパーマーケットチェーン) 

*記クライアントはDCからの回答ではなく、Campaignの調査に基づく。 

*回答なし。 

*回答なし。 

 

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