
* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。
Dentsu Creative(以下、DC)の親会社である電通とって、この1年は激動の年だった。経営陣は大幅に交代し、財務も逼迫。とりわけ世界全体で8億2000万ドルの赤字、アジア太平洋地域(APAC)のオーガニック売上高はマイナス7%。実に憂慮すべき結果となった。しかしAPACでは文化性で強みを発揮し、戦略も野心的だ。アドビはDCを「グローバル・リード・クリエイティブ・アンド・コンテンツ・エージェンシー」に選出。その結果、アウディFAW NEV(中国)やモトローラ、ソニー・エンターテインメント・テレビジョン(いずれもインド)といったクライアントを獲得した。
また、人材の強化も進める。主要市場では複数の上級幹部を採用。インドでは8人のクリエイティブディレクター、マレーシアとシンガポールでも新たな幹部を任命した。クリエイティブ面では、APACで最も優れたエージェンシーネットワークとしての期待に最低限応えたと言える。カンヌライオンズだけでなく、インドの「キューリアス(Kyoorius)・クリエイティブアワード」やタイの「アドフェスト(AdFest)」といった地域の広告賞でも大きな存在感を示した。
しかし課題も残る。業績不振で、電通のクリエイティブ部門は大きなプレッシャーを受ける。グローバルな組織再編、収益性の精査も進行中で、DCは岐路に立つ。今後は優れた作品の提供だけでなく、各地に点在するクリエイティブの才能を結集し、統合的業務体制を構築することで、戦略的な強みを発揮していくべきだろう。
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強み(STRENGTH)
親会社・電通にとってはタフな1年であったにもかかわらず、吉報も。アドビは、デジタルメディア事業の「グローバル・クリエイティブ・アンド・コンテンツ・エージェンシー」としてDCを選出。さらに中国ではアウディFAW NEV(サーチ・アンド・サーチと協業)、インドではモトローラ、ソニー・エンターテインメント・テレビジョン、ポパイズ(米・フライドチキンチェーン)といった主要クライアントを獲得した。
新たな人材も採用。インドでは8人のクリエイティブディレクターを任命し、昨年からインドでクリエイティブの指揮を執るサージョ・ダット氏の直轄となった。新しいクリエイティブリーダーを配したのは、より実践的な「DIY文化」を育むためだ。マレーシアではウダイ・デサイ氏、シンガポールではフィオナ・フアン氏などを任命、地域での存在感強化を目指す。
クリエイティブ面では、今もオーディエンスや広告賞の審査員たちを魅了する。D&AD賞では日本やオーストラリアの作品を含め、22本の「ペンシル」を受賞。また、DCチャイナはCampaign主催のエージェンシー・オブ・ザ・イヤー2024で「グレーターチャイナ・クリエイティブ・エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。「仁愛チャリティー」との共同制作「Lost in Time」はアルツハイマー病への認知を高めるもので、カンヌライオンズのブロンズを受賞。中国のエージェンシーとして2年連続の受賞となった。
モトローラのキャンペーンは、インドのキューリアス・クリエイティブ・アワードで最優秀賞を受賞した。
DCインドネシアは今年のアドフェストで、同国のエージェンシーで最も多くの賞を獲得。高速道路運営会社ジャサマルガのキャンペーン「Wakeupads — Microsleep breaker」ではインドネシア最大の広告賞「チトラ・パリワラ(Citra Pariwara)」で金賞を獲得した。
電通は社会課題の解決と事業目標を両立させるB2B2S(business-to-business-to-society)企業を目指す。2040年までに、グローバルバリューチェーンで温室効果ガス(GHG)の実質排出量をゼロにするのが目標。2030年までにスコープ1〜3のGHG排出量を少なくとも46.2%、2040年までには90%の削減(対2019年比)を目指す。また、豪州では2025年までに上級管理職の半数を女性にする目標を掲げている。
ロブ・ギルビーAPAC CEOの離職をはじめ、人材の流動が激しかったこの1年。素晴らしい業績は期待できないにしても、8億2000万ドルという赤字額、さらに主要エージェンシーが成長・機会のハブと見込むAPACでオーガニック売上がマイナス7%というのは極めて憂慮すべき数字だ。電通は年次報告書の中で、「成長を再び促すために重点的に対策を講じたが、売上高は予想を下回った」と記した。
顧客体験管理(CXM)が期待外れの結果に終わったことで、インドでこの分野を担当する新たな幹部の実力が試される。同社によると、CXMは通年で2桁のオーガニック減を記録、特に豪州では顕著だった。2024年度は中国のクライアントのコスト削減で、引き続きマイナス。豪州ではトヨタと、最近ではKマートという主要クライアントを失った。
サステナビリティーについては、豪州と日本以外での取り組みに関する情報が入手しにくく、各地域のウェブサイトでもサステナビリティーに関するセクションは設けられていない。
機会(OPPRTUNITIES)
DCは様々な市場の主要企業から中小企業まで、幅広いクライアントを対象に業務を展開。豊富な人材力とクリエイティブの潜在力を示す。また、毎年発表する「CMO調査レポート」や「Z世代トレンドレポート」で、信頼のおけるソートリーダーシップとしての地位も確立。こうした取り組みは、未来のコミュニケーションの礎となる。
こうした潜在力をより最大限引き出すためには、特にAIなどの最先端技術を駆使したツールの活用に一層注力する必要があろう。その好例は、DCマニラが製作したキャンペーン「Face of Courage」だ。この作品はAIを用い、家庭内暴力の被害を受けた女性の顔を再現して視覚化。テクノロジーの「感情的表現力」を示しただけでなく、同社がクリエイティブの使命として掲げる社会課題の解決にも合致させた。また、他社との差別化も促し、イノベーションがいかに文化・社会と深く関われるかも再認識させる。
こうした分野にさらに注力すれば、DCの明確な強みとなろう。「WPPオープンプラットフォーム」のようなテクノロジーによるソリューションの統合や、自社開発によるマグロ品質判定AI「TunaScope」のようなイノベーションの展開(日本発で、現在はインドネシアでも活用)を広げれば、真にイノベーティブなクリエイティブネットワークになり得る。研究開発やイノベーションに関する電通本社の豊富な情報量を活用し、その能力をAPACに拡大すれば、エージェンシーとしての強固な基盤を築けるだろう。
APAC市場が求めるのは、テクノロジーを活用しつつ文化的に共感できる作品だ。企業規模の大きさや人材の多様性、先進的なソリューションへの取り組み、そして「One Dentsu」の理念を組み合わせられれば、DCは再びAPACで優位性を確立できるだろう。
脅威(THREATS)
DCの卓越した能力にもかかわらず、APACで構造的課題を抱え、競争力維持が課題だ。持株会社の業績不振が、日本国外のネットワークの「クリエイティブな野望」の足かせとなっていることは否めない。
電通の中期経営計画では、戦略的に日本と米国に主眼が置かれ、メディア事業がクリエイティビティーよりも優先されている。つまりインドや中国、タイ、豪州、ニュージーランドといった成長・投資が求められる市場で、リソースが制約されかねない。DCは複数のグローバル企業を買収して形成された比較的新しいネットワークで、現在も再編で業務が混乱し、その立ち位置は安定性に欠ける。
さらにオムニコムとIPGの合併が迫り、BBDO、マッキャン、FCB、TBWAといった有力なクリエイティブエージェンシーの統合により、こうした課題はさらに深刻化する。これらのエージェンシーはAPACで既に高い評価と市場シェアを獲得。今回の合併でより豊富なリソース、より大きなスケール、より強力なクリエイティブを備えた強敵が誕生することになる。DCはまだポジショニングを確立できておらず、結束力の強さも証明できていない。
さらに2027年までの中期経営計画を進める中で、業績不振の部門の最適化・人員削減を示唆。人材の再編や現在進行形のレイオフ、クリエイティブへの不十分な投資が、競争力に欠かせない「勢い」を削ぐ可能性があり、不確実性は拭えない。規模の大きさやクリエイティブの一貫性を日本国外ではっきりと示すことができなければ、グローバルプレイヤーたちと互角に渡り合うことは難しいだろう。
アドビ *記クライアントはDCからの回答ではなく、Campaignの調査に基づく。 *回答なし。 *回答なし。 |