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働き方の見直しは、人材確保のために必須
パンデミックを機に、働き方の見直しが世界各地で急速に進んでいる。水曜日にはヤフーが居住地や通勤に関する制限を撤廃すると発表し、4月から全社員が国内のどこでも自由に居住できるようになるという。
流動化が進む中で必要になるのは強烈なカルチャーだと考えているのは、BBHの共同創業者で、昨年エージェンシーとフリーランスのマッチングを行う「ジーニー(Genie)のチェアマンに就任したジョン・ヘガティ卿だ。「人々から『エージェンシーのブランドは重要ではなくなるということか?』と言われますが、とんでもない。むしろ流動的な世界では非常に強いカルチャーを持つことが、これまで以上に重要になってきます」。さまざまなエージェンシーがフリーランスとの提携を増やしているが、「彼らは『自分の働き方や考え方、提供するもの、仕事の仕方を尊重してくれる人とだけ手を組みたい』と考えるから」というのが、その理由だ。また多様性はクリエイティビティーの基礎であり、エージェンシーにとって不可欠であることも同氏は強調した。
S4キャピタルのマーティン・ソレル卿は、今年はエージェンシーにとって、離職や賃金上昇の圧力が深刻な問題になるだろうと考えている。「人々は企業の財政状態だけでなく、パーパス(存在意義)、労働環境を形づくる定性的なもの、職場、福利厚生、設備といった面に魅了されています」。
また、「この速度で成長するインフレ傾向の中で、24時間年中無休で常時稼働というアジリティー(機敏性)が求められている」とも言及する。「コマーシャルを3カ月間はおろか、1カ月も待ってはいられません」。速さを求める広告主はインハウス化(内製化)や、広告会社の人材の常駐化を進めているという。
家族の多様化、子ども向けの絵本に
動画配信サービス「HBOマックス」が、多様な家族の形を描いた子ども向けの絵本を発行した。8月に公開したドキュメンタリーシリーズ「NUCLEAR FAMILY」から着想を得て、トランスジェンダーや同性のカップル、ひとり親、養子などさまざまな家族を、シャネー・ベンジャミン氏が描いたものだ。発行に先立ち、100枚超の絵をソーシャルメディアで公開していた。絵本は非売品で、NPO団体などに寄付される。
このキャンペーンが目指したのは、「伝統的な家族」像の進化に光を当て、認知度を高めることだとHBOの多文化マーケティング担当バイスプレジデント、ブレーズ・プレウ氏は語る。「このような家族の子どもたちに、決して珍しい話ではないこと、そして他の子どもたちや家族たちと同じであることを知ってほしかったのです」。
The Arlo & Jesse Story - illustrated by Shanée Benjamin
— HBO Documentaries (@HBODocs) October 7, 2021
40 years ago, the concept of an LGBTQ+ family was inconceivable to most. Today, we celebrate the breadth of queer families. Learn more about how we got here in #NuclearFamilyDoc, now streaming on @HBOMax. pic.twitter.com/DmwbmxP1KS
WARCアワード・フォー・メディア 受賞作品が決定
WARCアワード・フォー・メディア2021の結果が発表された。グランプリを獲得したのは以下の4作品。その他の受賞作品はこちら(英語)から。
【チャネル部門】
エア・トランザット/Vacation intervention(PHD)
【パートナーシップ部門】
レバノン乳がん財団/The bread exam(マッキャン・パリ、FP7マッキャン・ドバイ)
【テック部門】
L’Enfant Bleu/Undercover avatar(ハヴァス・スポーツ&エンターテインメント)
【データ部門】
ウォーター・セーフティー・ニュージーランド/Personalizing danger(FCBニュージーランド)
その中の一つ、データ部門のグランプリとパーソナライゼーション・アワードを獲得した「ウォーター・セーフティー・ニュージーランド」は、水難事故の防止に取り組んでいる。同国では水難事故で命を落とす人の33%が、15~34歳の男性だという。彼らに危険な行動についてブラックジョークを交えて啓発するのは水辺の死神「スイム・リーパー」で、インスタグラムのフォロワー数は41万人超。最近では、過去の水難事故やリアルタイムでのデータを活用し、危険をより詳細に予測している。
「他のエントリー作品は、データを収集しているだけでした」と語るのは、審査員を務めたカトリーン・ジェシー氏。「しかしこの作品ではデータが有効活用されていました。一つでも命が救われたのであれば、すでに成功しているといえます」。
新年早々からクリスマス広告を開始
年が明けてまだ2週間だが、英リバプールに本拠を置くパーク社は2022年のクリスマス広告を始めた。「今最も話したくないことは2022年のクリスマスについてでしょう」と謝罪する女性が、「早過ぎることは分かっていますが、あなたが準備を整えて順調に進めていけるよう、パークス・クリスマス・セービングはお手伝いいたします」と続ける。制作はTBWAマンチェスター。
クリスマスに備えるための預金業務を運営する同社は、例年であれば11月ごろにテレビCMを開始してきた。しかし今年は「クリスマス前後のノイズを避けるため」1月から開始したのだと、スポークスパーソンは語る。
(文:田崎亮子)