Ryoko Tasaki
2021年2月04日

陳腐化した「インスタ映え」写真を一刀両断

山頂で腕を広げたり、海辺で足を投げ出したり、岩の上で瞑想したり……。ソーシャルメディアでよく見かける構図の写真を、ニュージーランド政府観光局が一蹴する。

ニュージーランドの「ソーシャル観察隊」に扮したトム・セインズブリー(コメディアン)が観光名所で取り締まるのは、インスタ映えを狙い、ありきたりの構図で撮影しようとする観光客たちだ。

「ソーシャルメディアで見た写真を真似するために、どんなことでもやる人たちが増えているんだ」と見せてくれるのは、外風呂に浸かる後ろ姿、岩の上で瞑想する様子、海辺で足を投げ出す姿といった写真。どれもソーシャルメディアではおなじみの、見飽きた構図だ。

山頂で腕を広げる古典的な写真を撮ろうとしていた二人に、トムは「そんな写真は既に見たことがあるでしょう?」と説き、「絶対に気に入るから」とワイナリーに連れていく。そして「何か新しいことをシェアするのも忘れないで」と解放する。

すぐさま無線から、次の指令が飛び出す。次はラベンダー畑でうろつく人がいるとのことで、「今週はこれで4回目だ」と嘆く。捕まえることはできなかったが、証拠写真として「帽子を被り、ラベンダー畑で手を引く姿」という、これまた既視感のある写真をソーシャルメディア上に見つける。

「ありきたりのインスタ映え写真以外にも、もっと素晴らしい写真なんていくらでも撮れるのに」と、運転中にやりきれなさを吐露するが、無線からはまた次の指令が――。

1月26日に公開されたこの動画は、「Do Something New(何か新しいことをしよう)」というキャンペーンのもの。もっと独創的なポーズを考えるよう、観光客に求めている。「#DoSomethingNewNZ」というハッシュタグと共に投稿すると、抽選で500NZドル(約3万7千円)相当の国内旅行券が当たるキャンペーンも実施している。

こちらは別バージョン。

「多くのニュージーランド人が、岩の上で物思いにふけるような写真を撮っているけど、そろそろ別の場所に移ってもいいのではないか。例えば、馬の上とか、すごく面白いコメディアンのショーの最前列とか。一見の価値があるコメディアンを知っているな……」

「車道の真ん中に立って撮影した写真、あれは一体何なんだ? とても危険だし、私には凡庸(middle-of-the-road)な写真に見えるね。この夏は道路では撮影せず、安全に過ごしてはどう?」

(文:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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