R/GAはモーショングラフィック会社として1977年ニューヨークに設立、『エイリアン』『プレデター』などの映画を手掛けた。1995年にインタラクティブエージェンシーへと移行し、現在はシンガポールとシドニーにもオフィスを構える。
そんなR/GAが計画しているのが、東京での事業の立ち上げだ。まずは中核クライアントであるグーグルの案件に専念する、少数精鋭のオフィスを考えていると話すのは、アジア太平洋地域のエクゼクティブ・バイスプレジデント兼マネージング・ディレクターのジム・モファット氏だ。
「東京は、今後の事業展開のための拠点として考えている」
日本市場のポテンシャルについては楽観しているが、進出を急いではいない。提供するサービスを精査することが先決だが、電通や博報堂といった国内勢の力を考えると状況は「複雑だ」と、R/GAの創始者でCEOのボブ・グリーンバーグ氏は言う。
「多くの企業が進出しているが、ビジネスモデルが合わない。簡単にはいかないことなので、我々は時間をかけ、パートナーも慎重に選ぶつもりだ」
オフィス開設が難しいのは、東京が初めてではない。「ブエノスアイレスでの開設も難航した。シンガポールでも、開設後しばらくは良いリーダーが見つからなかったし、当時は希望する人材も不足していた」
それでも、R/GAの世界的な成長において、アジア太平洋地域はこれからもきわめて重要であるとグリーンバーグ氏は語る。R/GAは過去最高益を更新し、社員数も2,000人を越えた。
モファット氏は、同社が日本で成長可能な三つのシナリオがあると言う。一つ目は、Beats By Dr.Dreやグーグルのようなグローバルブランドの、日本でのニーズに対応すること。二つ目は、海外での拡大を狙う日本ブランドを手助けすることだ。
「そのときに東京オフィスは、R/GAがロンドンやニューヨーク、シドニーで手掛けてきた活動のショールーム的な役割を担うことになる」(モファット氏)
しかしR/GAにとって最もエキサイティングなのは、日本のブランドと、コミュニケーション戦略だけでなく製品イノベーションにおいてもパートナーシップを結ぶという、三つ目のシナリオだろう。「そこには、破壊から生み出すチャンスがある」とモファット氏は語った。
(文:ガビー・ゴー 翻訳:高野みどり 編集:田崎亮子)