米・ミネアポリスでの黒人男性暴行死事件をきっかけに世界的な広がりをみせたBLM運動。5月25日の事件発生以来、アジア太平洋地域(APAC)のメディアはBLMに関して900本近い投稿をしたが、ブランドはほとんど声を上げず、他地域と比べても非常に少ないことがわかった。
データを公表したのはソーシャルマーケティング専門のソーシャルベイカーズ社。同社は5月13日から6月10日にかけて、フェイスブックやインスタグラム、ツイッターといった主要プラットフォームで「#ブラックライブズマター」とハッシュタグが付いた投稿を分析、地域別にブランドとメディアの投稿数を割り出した。
メディアの投稿数が最も多かったのは案の定、米国(以下、表)。興味深いのは、メディアよりもブランドの方が投稿が多かったことだ。これはブランドがいち早くBLMへの支持を表明したことを意味する。
だがAPACでは全く逆の結果で、ブランドによる#ブラックライブズマターの投稿はわずか164本。市場規模でずっと小さい英国と比較しても半分以下だった。APACのメディアは相当数の投稿をしており、BLMへの民衆の関心の高さを示す一方、ブランドは立場表明を躊躇したことがわかる。
APACで声を上げた著名なブランドはKマートやパタゴニア、スキンケア製品のラッシュ(Lush)などで、発信元はすべて豪州とニュージーランド。ほかには水着やファッションの小規模ブランドが賛意を示し、主要な多国籍企業は揃って沈黙した。
APACブランドの投稿で最も反響が大きかったのは豪州のファッションブランド「プリンセスポリー(Princess Polly)」のもので、インタラクション数は1万9300。2位はインドの帽子・フットウェアブランド「アーバンモンキー」で1万3800。3位も豪州のファッションブランド「ジマーマン(Zimmermann)」で、1万2300だった。
APACのメディアの投稿数は887本。最も反響が大きかったのはブリュット・インディア(Brut India)のもので、インタラクション数は4万8900。2位はザ・スタンダードの4万7200、3位は日本のTBSニュースの4万6300だった。
(文:ジェシカ・グッドフェロー 翻訳・編集:水野龍哉)