調査は、英国のプロバイダー「ファインキャスト」社とロンドン大学が共同で実施。その結果、アドレサブル広告の内容を正しく記憶した参加者は全体の74%で、一般のテレビ広告の68%を上回った。
神経科学を研究するロンドン大学のジョー・デブリン教授は、「この6%の開きはかなり大きな違いを意味する」とコメント。
調査プロセスでも、参加者は一般広告よりアドレサブル広告に関する質問に答える時の方が反応が迅速で、自信を感じたという。
また、広告を見ている時の参加者の心拍数もアドレサブル広告の方が一般広告よりも低く、より集中力を発揮していた。
意外だったのは、広告のアドレサビリティ −− 視聴者のデータに基づくパーソナライズ化の深度 −− が与える影響。最もばらつきがあったのは自動車広告で、参加者が最もよく記憶していたのはブランドロゴだった。
さらに、広告を大きな画面で見た方が小さな画面よりもよく覚え(前者で内容を正しく記憶した人は75%、後者は69%)、集中力にも大きな差が出ることがわかった。
BARB(Broadcaster’s Audience Research Board、英国の団体)は最新レポートで、テレビを見ない人のほとんどはタブレットで動画を視聴すると報告。また、特定の時刻の動画の視聴はスマホとタブレットに限られることも発表した。
今回の共同調査では、テレビ広告への参加者の生理的反応と行動様式からエンゲージメントも測定。参加者は16本の同じ広告(アドレサブル広告と一般広告を8本ずつ)を視聴した。
その結果、消費者はパーソナライズ化されたオンライン広告により大きな影響を受け、自分と関わりがあるテレビ広告に高いエンゲージメントを示すことがわかった。参加者の3人に1人は明確に、自分と関わりのあるテレビ広告を見ると回答。アドレサブル広告への好感度も一般広告の4倍だった。
ファインキャストのUKマネージングディレクター、ハリー・ハーカス氏は、「意識と潜在意識、両方の面でアドレサブル広告は視聴者にポジティブな影響を与えることがわかった。しかし、アドレサブル広告は適切に運用されなければなりません」と話す。
「テレビはストーリーを伝える機会そのものであり、消費者は自分と関わりのあるものを求める。今回の調査で、優れたクリエイティブとアドレサブルの技術を組み合わせることで、テレビでも視聴者に強いインパクトを与えられることがわかった。様々なコンテクストを使うことで、幅広い消費者とのエンゲージメントを高められるのです」
(文:オマール・オークス 翻訳・編集:水野龍哉)