Tatsuya Mizuno Staff Reporters
2023年5月25日

パワーリスト2023:河野奈保 (楽天)

パワーリスト2023:河野奈保  (楽天)
パワーリスト2023
#AuthenticLeaders 

河野奈保

楽天
副社長執行役員、CMO
2020年より4年連続で選出

河野奈保氏の4年連続選出は極めて妥当と言えよう。同氏のリーダーシップのもと、楽天のエコシステムは躍進を続け、アクティブユーザー数は日本国内だけで3900万人に。その75.6%は、この1年で同社のサービスを2つ以上利用した。

楽天の主力サービスは、日本でもトップのロイヤルティプログラム(優良顧客に特典を与える制度)と言われる「楽天ポイント」だ。2021年には5300億ポイントを発行、昨年は前年比23%増で累計3兆ポイントを超えた。

河野氏は複数のサービス −− 楽天モバイルや楽天リンク、スーパーポイントアッププログラムなど −− の利用を顧客に呼びかける取り組みを牽引。顧客には利用の仕方によって通常の2〜3倍、時には15倍のポイントが獲得できる特典を与えた。また、マーケティングに関する知識と効率性を高めるプログラム『インターナルマーケティングコミュニティー』も立ち上げた。

ファーストパーティデータをブランディングやマーケティングに活かす取り組みにも尽力。その一環が、ユーザーエンゲージメントを高め、エコシステムの成長を促す6200億ポイントの付与プログラムだ。さらにシステムユーザビリティスケール(SUS、システム・製品に対するユーザーの主観的満足度を評価する指標)向上のため、ユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンスの改善にも着手した。

マーケティング業界のイベント参加にも積極的だ。昨年はローマで開かれた「ワールド・リテール・コングレス」で基調講演を務め、アジアの代表的広告賞「WARCアワード・フォア・アジアン・ストラテジー」では審査員に名を連ねた。

持続可能なライフスタイルを促進する「Go Green Together」、インクルーシビティ(包摂性)を高める「Walk Together with Pride」といった楽天独自のプログラムも推進。

河野氏の楽天、ならびにマーケティング業界に対する貢献度は非常に高い。DEIの促進、ブランドカルチャーの創造を先導し、副社長執行役員も務める同氏は、APACにおけるCMOたちの良き手本でもある。

パワーリスト2023
#AuthenticLeaders 

(文:Campaign Asia-Pacific編集部 翻訳・編集:水野龍哉)

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

世界マーケティング短信:米司法省がグーグルにChrome売却などを要求

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

3 日前

トランプ再選 テック業界への影響

トランプ新大統領はどのような政策を打ち出すのか。テック企業や広告業界、アジア太平洋地域への影響を考える。

3 日前

誰も教えてくれない、若手クリエイターの人生

競争の激しいエージェンシーの若手クリエイターとして働く著者はこの匿名記事で、ハードワークと挫折、厳しい教訓に満ちた1年を赤裸々に記す。

2024年11月15日

世界マーケティング短信:化石燃料企業との取引がリスクに

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。