かつてK-POPアイドルとして活躍したマキーナ(machina)が、苦悩と落胆を経てエレクトロ・ミュージック・アーティストとして再び羽ばたくまでを描いた、12分のドキュメンタリー動画をレッドブルが公開した。制作はマレンロウ・グループ・ジャパン。
マキーナは現在ソロアーティストとして、東京を拠点に活動。彼女がモジュラーシンセサイザーを自在に操って創作した音楽は、本作品の中でも使われている。レッドブルが4月に開催する音楽フェスにも出演予定だ。
マレンロウのプロジェクト「Tokyo 20XX」の後援で制作されたこの動画が目指すのは、すでに注目を集めているアーティストと単にタイアップすることではなく、長い時間をかけてアーティスト育成に携わっていく姿勢を表明すること、とTokyo 20XXディレクターのマイク・スンダ氏は語る。
「我々は、独創性を真に体現するアーティストとそのストーリーを、クライアントと共に選定しました」とスンダ氏。「たとえもっと著名なアーティストを起用した場合と比較して、彼女のストーリーではリーチを保証できなかったとしても、やってみる価値がとても高いと私たちは考えました」
レッドブルが「日本の音楽に“翼をさずける”」ことをテーマに、音楽フェスを初開催したのは2017年秋。Tokyo 20XXも当時から、音楽フェスの戦略的パートナーとしてレッドブルと協働してきた。当初はコミュニケーションを中心に携わっていたマレンロウも、今年はイベントのプランニング段階から関わるなど、不可欠な役割を果たすようになっている。
Campaignの視点:
K-POPが代替可能なパフォーマーによって大量生産されたビジネスであることは広く知られているからと、このドキュメンタリーを侮ることは簡単だろう。だが、綿密に練られた成功のチャンスを若者が自らの意思で手放し、本当の自分の音楽を再発見していくことを決めたというストーリーは純粋で、時代を超越する。卓越した映像制作技術、特に映像内で使われている音楽やサウンドデザインが、この映像を感動的なものにしている。全体的に印象に残る、レッドブルの長年にわたるブランドコンテンツに新たな解釈を加えた作品だ。
(文:マシュー・ミラー 翻訳・編集:田崎亮子)