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米ターゲット社、プライド月間の陳列を店頭から撤去
競技参加や公共トイレなど、トランスジェンダーをめぐる論争が世界各地で起きている。最近ではバドライトがトランスジェンダー女性インフルエンサーを起用したことで不買運動に発展した他、アディダスの水着モデルの写真が物議を醸した。
そんな中、今度はLGBTQ+の権利を啓発する6月の「プライド月間」に合わせてキャンペーンを実施していた米小売大手ターゲット社(Target)が、プライド月間に関連する商品をオンラインストアや一部店舗から撤去させた。陳列場所を店の奥に移動させた店舗もあるという。「今年のコレクションの発表以降、従業員の職場での安全やウェルビーイングを脅かす脅迫がありました」と声明で発表した。
同社は長年にわたり、プライド月間をテーマにした商品や、自認するジェンダーを尊重する衣服、LGBTQ+ブランドとのコラボレーションを行っており、今年は子ども向け絵本や衣類など2000点を超える商品を扱う予定だった。手ごろな価格帯の商品を多く扱うことから、LGBTQ+コミュニティーから高く評価されていた。
だが反トランスジェンダーの運動が激しさを増したことや、アブプラレン(Abprallen)とのコラボレーション商品としてサタンをモチーフにしたピンバッジが子ども向けに発売されるという誤情報が拡散したことから、商品の陳列などを見直すことに。声明は「私たちが今フォーカスしているのは、LGBTQIA+コミュニティーへの継続的なコミットメントを前進させ、プライド月間や年間を通して彼らと共に歩むことにあります」という言葉で締めくくられている。
ツイッター、未払いで訴えられる
ツイッター社のPR業務を請け負っていたPRエージェンシーの一つ、ジョエル・フランク社(Joele Frank)が、ツイッター社を訴えた。イーロン・マスク氏が買収した11月以降、支払いがされていないとしている。
ジョエル・フランク社によると、ツイッター社は未払いの請求書6通と440億米ドルの買収取引から撤退しようとした際の文書費用、合計830,498米ドルを支払っていない。両社は2015年1月から提携していたが、11月16日に契約が終了し、支払いについては「直ちに処理を開始する」という自動的な応答以外はやりとりができていない。
ツイッター社は、PRのAOR(指名代理店)だったオータム・コミュニケーションズ(Autumn Communications)との提携も、たった2カ月で終了している。ツイッター社内のコミュニケーション担当チームは解雇されており、今回のジョエル・フランク社の件での問い合わせにも応じなかった。
ツイッター社に対して法的措置を講じているのはジョエル・フランク社だけではない。パラグ・アグラワル元CEOなど元幹部は、司法当局の調査への対応費用などが未払いだとして支払いを求めている。また本社ビルのオーナーが、賃料を滞納しているとして同社を訴えている。
ピッチが広告会社に与える影響 メディア・センス調べ
メディア・センス(MediaSense)が広告会社の経営幹部やディレクターを対象に実施した調査によると、ピッチのプロセスは時間とコストの両方を過剰なまでに浪費すると86%が回答した。エージェンシーの社内文化に悪影響を及ぼす(64%)、スタッフのメンタルヘルスに影響を与えている(54%)とも考えられている。広告会社にとってピッチは避けられない側面もあるが、クライアントからの要望と実際に必要なことの乖離や、エージェンシー選定における透明性といった課題が浮かび上がる結果となった。
一方で、ピッチは従業員にとって貴重な訓練となる(84%)、自分たちの作品を売り込む良い機会である(83%)、そしてスタッフに活力を与えていると感じる(44%)とも。それでも回答者の46%が、ピッチに取り組む人員の確保が難しくなってきていると答えている。
気付かぬうちに健康データが共有される不気味さ
アップル社(Apple)が、健康データのプライバシー保護を強調するキャンペーンを展開している。クリニックの待合室に居合わせた患者たちの、生活習慣や健康状態が次々と明らかにされていき、ユーザーのデータが同意なしに第三者と共有されることの不気味さを描く。(なお英語版の動画では「2週間、歯を磨いていない」「月曜から手を洗っていない」など、公開される個人データが日本語版とは異なる)
【お知らせ】
Campaign Asia-Pacificが主催する2023年「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」のエントリー受付を開始しました。詳しくはこちら(英語)から。
(文:田崎亮子)