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英広告業界団体、新政権による規制強化や介入を警戒
英国の総選挙で労働党が圧勝し、14年ぶりに政権を奪い返した。このことを受け、英国の広告業界団体が規制の拙速な導入を警戒している。
広告業協会(IPA)事務局長のポール・ベインズフェア氏は「英国の広告業界が今後も繁栄し続けるためには、立法の不必要な介入なしにイノベーションを行えるようにする必要があります」とコメント。教育におけるクリエイティブ系科目への投資や、職業訓練制度の改革、AIの安全な開発のための国際協力などに注力してほしいと訴えた。
広告協会(AA)のCEOを務めるスティーブン・ウッドフォード氏は、広告が投票の有権者登録やワクチン接種率の向上、メンタルヘルス向上、食品廃棄を減らすための行動変容、文化やスポーツなどへの資金提供など「社会において重要な役割」を果たしていると述べる。「英国がデータ駆動型経済の最前線にとどまるには、規制の確実性と広告基準局(ASA)への支援が鍵となります。また、業界の引き続きの発展と雇用や投資を増やすため、クリエイティブとデジタルの最高の人材を確保するには、教育や技能訓練の政策改革が必要です」。
インタラクティブ広告協会(IAB)で政策・規制担当ヘッドを務めるクリスティ・デネヒー・ニール氏は「オンライン経済圏内の課題にどう対処するか、振り返って再検討する貴重な機会」だと語る。「消費者への害のリスク管理と、英国のデジタル広告業界が推進する広範なデジタル経済への支援の間で、適切なバランスをとることは誰にとっても利益になります」。
広告主協会(ISBA)事務局長のフィル・スミス氏は、導入が延期されている健康的でない食品や飲料の広告規制について明確化を求めた。「広告主はどの製品やカテゴリー、メディアが新しい規制の適用範囲になるのか、あるいは適用範囲外になるのか、明確さと確実性を切望しています。多くのブランドでは、最終決定されたルールやガイダンスが無いまま、広告キャンペーンを計画することを余儀なくされています」。
米パラマウント、スカイダンスとの合併で合意
米メディア大手のパラマウント・グローバル(Paramount Global)が、米映画製作大手スカイダンス・メディア(Skydance Media)との合併を承認した。スカイダンス側からの数カ月にわたる買収の交渉を経て実現したもので、2025年前半に取引が完了する予定。
スカイダンスの創業者デイビッド・エリオット氏はレッドバード・キャピタル・パートナーズ(Redbird Capital Partners)などと共同で、合計で80億米ドルを投じる。合併後の新会社CEOにはエリオット氏が就任する。
パラマウントは2019~2022年の間に企業価値が170億米ドルほど下がっている。7100万人の加入者がいるストリーミング事業「パラマウントプラス(Paramount+)」に多額の投資を行うなど奮闘しているが、2023年第4四半期には4.9億米ドルの損失を出した。
社内コミュニケーションへの信頼感に課題 IoIC調べ
従業員の31%が、雇用主のコミュニケーションがオープンで誠実なものではないと考えている。社内コミュニケーション機関(IoIC)とイプソス・カリアン・アンド・ボックス(Ipsos Karian and Box)が、従業員数が500人以上の組織に勤める4000人と社内コミュニケーション担当者220人を対象に実施した調査でわかった。
パンデミック後にオフィス回帰を促す際の、伝え方に対する信頼の欠如も浮き彫りに。従業員の68%が、勤務先がオフィス回帰を望む理由は伝えられたものとは別の理由だと考えており、「ハイブリッドワークのコミュニケーションにおいて、かなり非難すべき数字」だと報告書は指摘する。勤務先から伝えられた理由は「社員同士のコラボレーションを促すため」(45%)だったが、これが主な理由だと考えている従業員は20%。一方で「労働時間の管理」と伝えた企業は5%だったが、これが本当の動機だと考えている従業員は29%に上る。
また、ハイブリッドワークの方針について「従業員にうまく伝わった」と考えている社内コミュニケーション担当者は半数(51%)にとどまる。組織再編や人員削減などについて「効果的に伝達する訓練を受けた」という担当者はわずか11%だった。
(文:田崎亮子)