インテグラル・アド・サイエンスの調査レポート「メディアクオリティレポート(2018年下半期)」によると、日本におけるデジタル広告の蓄積閲覧時間(タイムインビュー)は前回(2018年上半期)から1.3秒伸び、9.8秒となった。広告に触れた時間に着目するタイムインビューは同社独自の指標で、キャンペーンの効果を最大化するのに適切な露出頻度や時間が分かる。「日本市場においてアドベリフィケーション対策の導入が進んだ結果、優良な広告枠が増加した」ととらえている。
ビューアビリティについては、デスクトップにおいて58.5%(前回49.8%)と大幅に改善。「パブリッシャーによる広告枠品質向上の取り組み」の結果によるものであり、「過半数の広告が見られていなかったこれまでと比べると大きな前進」と述べる。
一方で、デスクトップよりもインプレッションが多いモバイルは38.6%と苦戦中だ。だがこれは「モバイルでの取り組みが拡大した結果、計測対象となる広告在庫も増え、品質のばらつきも拡大したこと」に起因した一時的なものと結論づけた。
「アドベリフィケーションの本質はマイナスを排除した上で、いかに効果を押し上げてプラスの成果を出すかという点にあります」とコメントするのは、日本オフィスのマネージングディレクター、藤中太郎氏だ。デジタル広告といえば近年、不正やリスクばかりが注目されがちだが、それはアドベリフィケーションの基本ではあるものの、本質ではない。「このことを正しく理解し、業界全体としてデジタル広告の透明性を高めていくことが必要」と語る。
(文:田崎亮子)