アドベリフィケーション(広告検証)を専門とするIASが、年に2度実施する調査「メディアクオリティレポート」の2021年上半期版を発表した。
それによると、世界のディスプレイ広告のビューアビリティ水準はウェブ環境全体で低下。デスクトップでは前年比2.4ポイント減の69.5%、モバイルウェブでは同3.3ポイント減の64.3%だった。日本におけるビューアビリティも引き続き低下傾向で、デスクトップでは54.8%、モバイルウェブでも45.4%と世界平均を大きく下回った。
世界のアドフラウド率はデスクトップで増加して1%、モバイルで減少して0.4%だった。日本ではデスクトップで0.2ポイント減少して2.6%だったものの、世界で2番目に高い数値。モバイルウェブも0.4ポイント減少の2.3%だったが、世界で最も高い数値を記録した。
タイムインビュー(ビューアブルなインプレッションが閲覧された時間の平均値)はすべての環境で減少。世界平均はデスクトップで0.47秒減って22.67秒、モバイルウェブも0.8秒減って14.91秒。日本ではデスクトップが0.97秒増えて23.46秒、モバイルウェブが16.9秒減って12.46秒だった。
IAS日本支社のカントリーマネージャー、山口武氏は日本の状況について以下のように話す。「消費者がデジタルコンテンツに触れる時間が増え続ける中、デジタル広告への出稿は加速を続けています。日本のアドフラウド率は世界最悪の水準ですが、アドフラウドへの対応が推進され、過去4年間で初めて改善が見られました。また、フラウドの発生を減らし、ビューアビリティを向上することで世界の平均値に近づくための取り組みも業界全体で数多く行われています」
「広告主の方々には、今後もアドベリフィケーションを活用して低品質な広告インプレッションを削減することをお勧めします。テクノロジーの進歩によって、質の高いインプレッションへの投資促進、チャンネルレベルでの豊富なインサイトとの組み合わせによるコンテキストの回避やターゲティング、プライバシー保護に対応したアドベリフィケーションを超える価値の提供などにプログラマティック技術がさらに活用されていくと予測します」
(文:水野龍哉)