Campaign Japan
2016年12月14日

2016年に最も読まれた記事、トップ5

デジタルメディアのスキャンダル、世界における日本の位置づけ、「クリエイティブ」な英語の使い方……。 いずれの記事も非常に大きな注目を集めた。

ミュゼプラチナムは、後にキャッチフレーズを変更した
ミュゼプラチナムは、後にキャッチフレーズを変更した

1.「電通デジタル」は、電通を超えられるか

2016年に最も読まれた記事は、7月に電通本体から分社化されて事業を開始した「電通デジタル」の意義を取り上げた記事だった。CEOの大山俊哉氏は同社の指針を事細かに語り、ゆくゆくは電通本社を超える企業になりたいと抱負を語った。しかしその発足直後、電通のグループ会社によるデジタル分野での不正取引が発覚、同社のイメージも大きく損なわれてしまった。電通デジタルは大きな可能性を秘める一方で、その成長はいかに完全な透明性を確保し、広告業界の信頼回復の役割を担うかにかかっていると言えよう。

2. 「不正請求疑惑」に揺れる電通

第2位は予想に違わず、電通の不正請求疑惑に関する記事だった。トヨタ自動車に対する長年の過剰請求が明るみに出たのは9月のこと。これを機に広告代理店に対する数多くの疑念が生じ、一部企業の間では代理店との関係を速やかに、そしてより慎重に見直そうという動きが活発になった。不透明な取引慣行は今でも世界的規模でメディアバイイングに影響を及ぼしている。2017年には、より綿密な契約条件や対価の精査が行われていくことを期待したい。

3. スコット・マクネリ氏「日本はイノベーションを海外に任せてしまっては?」

アドテック東京で、サン・マイクロシステムズの共同設立者スコット・マクネリ氏の発言が意外な注目を集め、賛否両論を呼んだ。マクネリ氏は「日本は美しく安全で、クリーンな国」だが、「真のイノベーションは一切期待しない」と平然と言ってのけた。マーケティング業界の存在価値がイノベーションにかかっている以上、この発言は深刻な警鐘として受け止めるべきだろう。だが、「日本はサポート役に徹してリラックスしていればいい」という意見にCampaignは同意できない。日本は明らかに、世界へ発信できるものを潤沢に備えている。その潜在力を存分に発揮するため、日本企業は体質改善を図り、新たな可能性のためには大きなリスクをとることも恐れないようになるべきだろう。

4. 「変な英語」のキャッチコピー、その功罪は

日本のコピーライターによる一風変わった英語のキャッチコピーは、外国人にとって常に「笑いのネタ」だ。美容脱毛サロン・チェーンのミュゼプラチナムは「Enjoy the Girl」というキャッチコピーで今夏のキャンペーンを展開しようとしたが、批判を浴びて(しかも日本人の消費者から)撤回。Campaignではこの騒動が起きた6月、ブランドが日本の消費者に向けて使用する英語のコピーについて、今一度考え直すことの意義について取り上げた。

5. 「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー2016」を発表

Campaignが初めて東京で開催した「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」。授賞式会場は大いに活況を呈し、この1年で優れた実績を収めたTBWA\HAKUHODO、マインドシェア、エデルマン・ジャパンなどが金賞を受賞した。この場を借りて、エントリーした企業や個人、審査員、出席者の方々にあらためて深く御礼を申し上げたい。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:水野龍哉)

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