
* 自動翻訳した記事に、編集を加えています。
2024年は広告業界が厳しい課題を突きつけられ、その解決策を模索した年だった。
広告予算はさらに縮小し、人員削減や経営合理化のニュースが弊誌の見出しを頻繁に飾った。これらは必要に迫られての動きで、生成AIへの投資とその導入は急速に増加。オーガニック成長は鈍化し、中国市場は常に不安定で、多くのクリエイティブエージェンシーの業績は低迷した。グループ内のエージェンシーが親会社の足を引っ張るケースも見られた。
だが、明るい兆しも。いくつかのエージェンシーは主要広告賞に匹敵する優れた作品を制作、文化的影響力を発揮し、クライアントのビジネスにもインパクトを与えた。また、大胆なアイデアの価値を証明したエージェンシーも。それでも、大きな注目を集めるような「真のクリエイティビティー」はほとんど見られず、様々な面で成果を上げたエージェンシーも少なかった。業界が抱える課題はもはや財務状況だけでなく、エージェンシーの存続自体にかかわるほど深刻なことは決して無視できない。
昨年の大きなテーマは生成AIだった。エージェンシーは揃ってAIの導入・活用に注力し、業務やデータの整理、広告枠の買い付けなどを自動化し、時にはアイデアの捻出にまで活用した。しかし、そうした期待にAIが全て応えたとは言えない。AI導入でビジネスがどう影響を受けたか、はっきりしない点が多過ぎるのだ。業界再編の可能性は否定できない。だが現段階では、AIがクリエイティビティーを高めるのか、「人の魂」を奪うのか、判断する証拠は極めて限られている。
2024年は転換点と言っても過言ではなく、今年は業界地図が塗り替えられる可能性がある。オムニコムによるインターパブリック・グループ(IPG)の買収は勢力図を変えた。ビジネスモデルの破壊と再構築はさらに進み、クライアントの忠誠心はこれまでにない手法で試されるかもしれない。真のクリエイティビティーが勝負を分けるのか、それとも組織のスケールが優位性を生むのか。確かなのは、時代遅れの手法に固執すれば決して成功を収められないということだ。
業界が新たな時代に備える今、弊誌のエージェンシー・レポートカードは22年目を迎えた。APACのマーコム業界を牽引するエージェンシーの包括的かつ詳細な評価表。日本からは今年、電通(Dentsu Creativeとメディア事業)と博報堂を評価対象とした(APAC全体では25社)
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今年の評価方法について
今年はより明快で、現実的視点を反映させるため、SWOT分析(強み=strength、弱み=weakness、機会=opportunity、脅威=threatの4つの要素で分析)を試みた。引き続き、「ビジネス」「イノベーション」「DEI & サステナビリティー」「クリエイティビティー&エフェクティブネス」「マネジメント」の5つのカテゴリーで評価を試みたが、各エージェンシーの現状や課題をより正確に反映させるため、それらの比重を見直した。
昨年までは各分野を均等に評価していたが、現在の市場では成長と適応力の重要性が増していることを踏まえ、ビジネスとイノベーションをより重視、それぞれ全体の評価のうちの20%、25%とした。クリエイティビティー&エフェクティブネスも依然重要な要素で、25%。DEI&サステナビリティ、マネジメントは各15%とした。
また、対象リストも更新。 カラ(Carat)はその構造をより正確に反映させるため、電通メディア(Dentsu Media)に統合した。
評価結果
今年のレポートカードでは、エージェンシーの評価がBとCに集中した。これは市場で競争が激しく、各エージェンシーが慎重な活動を行ってきたことを示す。今年高い評価を得たのはメディアエージェンシーで、いずれもA-を獲得した。卓越性を示すのが難しい年にあって、ビジネス成長と業務遂行における一貫性、イノベーションへの明確な注力が、他のエージェンシーを凌駕する結果につながった。
B+の評価を得たエージェンシーは全体で5社。しかし、クリエイティブ分野のエージェンシーの多くは中間値にとどまり、優れたクリエイティビティーで知られるエージェンシーの多くもBまたはB-の評価だった。これは作品のクオリティーの低さを反映したわけではなく、経済的な逆風が要因だ。クライアントの予算削減、ビジネスにおける優先事項の変化、そしてアイデアの創出・提供を根本的に再構築するAIへの移行……こうした要素が足を引っ張った。
いくつかのエージェンシーはクオリティーの高い仕事をこなし、イノベーションやDEIで進歩したが、ビジネス成長の不均衡やその他カテゴリーでの一貫性の欠如により、評価を伸ばせなかった。また、C+に評価されたエージェンシーは10社。特定分野では進歩の兆しを見せたが、やはり他のカテゴリーで一貫性を欠いた。
重要なのは、C以下の評価を受けたエージェンシーがなかったことだ。つまり全体的に、最低限のパフォーマンスは維持されたことを示す。しかし「安定」から「卓越性」への道のりは依然険しい。今年さらに飛躍するエージェンシーは、クリエイティビティーとビジネス成果、未来を見据えた戦略を、より一貫した明確な目的意識で遂行できるエージェンシーだろう。
評価基準 各エージェンシーを、以下の5つのカテゴリーで評価。 1. ビジネス成長:総売上高、新規事業の売上高(コンサルティング会社R3、及びCOMvergenceのデータを使用したCampaign AI『2023年ニュービジネス・エージェンシーランキング』の数値を使用)、オーガニック成長、収益性、クライアントの獲得・損失数、収益の多様性などを評価。 2. イノベーション:自社や従業員、クライアント、業界に及ぼした影響を鑑み、アジアにおける取り組みやイノベーションを定性評価。 3. DEI & サステナビリティー:これら分野における取り組みや公約を定性評価。グループ全体のイニシアティブとともに、地域におけるイニシアティブに重点を置いた。 4. クリエイティビティー&エフェクティブネス:手掛けたキャンペーンの有効性を定性評価。地域及びグローバルレベルの広告賞、特に主要広告賞の獲得はより高い比重で評価。また、クライアントにもたらした効果も考慮した。 5. マネジメント:上記カテゴリーに加え、地域における意思決定の重要度、経営の安定性、業界への貢献度、人材育成への取り組み、従業員の離職率といった要素を鑑み、経営陣のパフォーマンスを定性評価。 評価決定までのプロセス 対象となったほとんどのエージェンシーは、弊誌からの多岐にわたる質問に丁重な回答を寄せていただいた。この自社評価に加え、独自調査を実施。さらに、多くのエージェンシーのAPAC責任者から約1時間にわたる聞き取り調査を行った。こうして弊誌の複数のシニアエディターが、各社の5つのカテゴリーにおけるパフォーマンスを0から10までの点数で評価。これら点数とアルファベットの評価基準は下記の通り。 5つのカテゴリーで評価が決定すると、エディターによる綿密な議論を経て、各カテゴリーの平均値で最終的評価を決定した。また、数値化することで各エージェンシーの昨年の成績と細かく比較できるようにした。
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