ネットフリックスは、成長著しい広告ビジネスにおいて、独自ソリューションと標準ツールの両方を充実させることを目指しており、ネットフリックスの人気タイトルトップ10にも広告を配信できる新しいプロダクトを発表した。
共同CEOのグレッグ・ピーターズ氏は、第2四半期の業績発表の場で、この新プロダクトは、広告事業の「最優先事項」、つまりスケールに対応するためのものだと語った。
彼は「広告主が広告費をどこに投資すべきかを考える際、最初に考慮されるもののひとつが、リーチだと理解している」と述べ、「我々は彼らの有力候補になりたい」と付け加えた。
ピーターズ氏は、その他の優先事項として、基本的なターゲティングやベリフィケーション、レポートなどの、広告主が期待する「標準的な」機能の提供と、営業組織の拡大を挙げた。
ネットフリックスは、月額6.99ドルの広告付きプランの会員が、第一四半期から「ほぼ倍増」したと発表した。だが、全体的にはまだ少数であり、広告収益はまだ重要な要素にはなっていないと補足した。
ネットフリックスは5月、アップフロントで初めて広告主向けのプレゼンテーションを行い、昨年11月にローンチした広告付きプランの月間アクティブユーザー(MAU)が500万人を突破したと発表した。ピーターズ氏によると、ネットフリックスはアップフロントで「良い広告主」を獲得し、軟調な広告市場にあっても、在庫不足に陥るほどの好況を呈しているという。
「我々の今の仕事は、広告主のニーズを満たす広告機能をできるだけ迅速に追加し、広告在庫を拡大することで、提供サービスをより魅力的なものにすることだ」と彼は付け加えた。
ネットフリックスが、従来、リニアテレビネットワークが行ってきたイベントであるアップフロントを主催する背景には、未だにブランドが重視しているリニアテレビの広告市場から予算を奪取する目論みがある。
ピーターズ氏は「これは、我々が商談を進める絶好の機会だ」と述べ、リニア市場とデジタル市場の広告予算を「時間をかけて」取り込むことを期待している、と言い添えた。
パスワード共有の取り締まりが、登録会員数と収益の向上を促進
ネットフリックスは、広告事業を推進する強力なユーザー増加策を持っている。
ネットフリックスは、厳しい年だった2022年を経て、運が好転し続けている。5月に開始したパスワード共有の取り締まりは、第2四半期、590万人の新規登録者獲得に貢献した。
有料会員数も1年前から8%増加し、2億3800万人に達し、世界のあらゆる地域で新規加入者が増加し続けている。
このアカウント共用対策は、別の場所から31日間以上ネットフリックスにログインしているユーザーに対し、もう一つアカウントを開設するか、メインアカウントに子アカウントを追加し、追加料金、月額7.99ドルを支払うよう求めている。
ネットフリックスはまず、第2四半期の収益の80%にあたるユーザーから取り締まりを開始し、7月20日には、残りのほとんどの市場で警告を開始するとしている。
最高財務責任者のスペンサー・ヌーマン氏は、アカウントの共同利用に対する取り締まりが、ネットフリックスの「今年の主要な収益拡大要因」となっており、その効果は、今後数四半期にわたって続くだろうと予想している。
「アカウント共用者がすべて、すぐに個別アカウントに移行するわけではないからだ」と、ピーターズ氏は説明した。「サービスを毎日利用していた共用者であれば、すぐ個別アカウントに移行する可能性も高いだろう。しかし、あまりアクティブではないユーザーもいる。彼らに、素晴らしい作品やテレビ番組、映画を楽しむために、個別アカウントに移行するよう促すには、もう少し時間がかかるだろう」
ネットフリックスの売上は、第2四半期に2.7%増加し、81.9億ドルに成長した。利益も3.3%増の14.9億ドルになった。
基本プランの料金を大幅に引き上げる
ネットフリックスは、以前の報道にある通り、アメリカとイギリスで、広告なしの最低価格帯プランを廃止することを認めている。6月にすでに、カナダではこのプランが廃止されている。
これにより、この二つの市場では、新規登録や再登録の際、月額9.99ドルのベーシックプランが選択できなくなる。ただし、既存会員は継続して利用することができる。
これらの市場の会員は、月額6.99ドルの広告付きプランにダウングレードするか、月額15.49ドルのスタンダードプラン、または月額19.99ドルのプレミアムプランにアップグレードするしか、選択肢はない。
影響度合を把握するため、ネットフリックスは市場ごとに、段階的にベーシックプランを廃止していく方針だと、ピーターズ氏は説明した。
さまざまな価格帯のサービスを消費者が選択できるようにする一方、ビジネスの長期的な収益構造も最適化しなければならない。これは、ネットフリックスのそうした目標を実現するための取り組みの一つだと、彼は付け加えた。
このストライキを終結に導かなければならない
ネットフリックスの共同CEOであるテッド・サランドス氏は、投資家向け説明会の中で、ハリウッドやテレビ制作会社を混乱させている、拡大中のストライキについて言及した。
俳優組合のSAG-AFTRAは先週、5月に始まった脚本家組合(WGA)のストライキに加わった。プロデューサーとの契約交渉について、抗議を行うためだ。
サランドス氏は、ストライキは「望ましい結果を招かない」と述べ、「このような複雑な問題に対処するためには、さまざまな工夫が必要だ」と付け加えた。
「我々はできるだけ早く合意に達することができるよう全力を注いでいる。この合意を、業界とそこで働く全ての人が、未来を前向きに捉えられるものにしたい」と彼は述べた。
ネットフリックスは、継続するストライキのため、2023年は当初見通しよりコンテンツへの支出が減少するとの見解を示し、フリーキャッシュフローの予測を35億ドルから50億ドルに引き上げた。