社員数を世界全体で20%削減すると報じられたばかりのスナップが、広告部門の幹部社員2人との契約を解消する。2人は今後、ストリーミング業界の巨人であるネットフリックスの広告収入型サブスクリプションの立ち上げに携わる。
スナップは、最高業務責任者のジェレミー・ゴーマン氏と、南北アメリカ地域広告営業担当バイスプレジデントのピーター・ネイラー氏と袂を分かつこととなった。ゴーマン氏はネットフリックスのワールドワイド広告部門プレジデントへの就任が決まっており、ネイラー氏も同じくネットフリックスの広告営業部門バイスプレジデントに指名されている。2人は9月下旬にネットフリックスに移る。
リンクトインの投稿で、ゴーマン氏は報道が事実であると認め、「ピーター・ネイラー氏と私は、9月下旬にネットフリックスに加わることを楽しみにしています!ワールドワイド広告部門のプレジデントとして、最高のチームを築き、会員の皆様と広告業界に素晴らしい広告体験を提供したいと思います」と述べている。
スナップの広報担当者は、ゴーマン氏とネイラー氏が同社を去ることは認めたものの、大幅な人員削減やリストラについてはコメントしなかった。本稿執筆時点でネットフリックス側のコメントは得られていない。
ヴァージ(The Verge)の報道によれば、スナップはデジタルメディア業界における広告事業の不振を背景に、6466人の社員のうち5分の1(約1300人)を解雇する予定だという。余剰人員の削減は8月末に開始される。その際、他の部署と比べてより大きな影響を受ける部署もある。アプリやゲームの開発者との協業を担当するチームや、スナップが2017年に買収したソーシャルマップアプリのゼンリー(Zenly)および、そのハードウェアを担当するチームが、大規模な人員削減の対象となる。
ゴーマン氏はスナップの同僚たちへのメッセージとして、同社で過ごした時間は「かけがえのないもの」だったと述べ、「何もかも忘れがたい思い出ですが、何よりも、親切でスマート、そしてクリエイティブな人々と過ごした日々は忘れられません」とコメントしている。
人員削減計画の報道を受けて、スナップの株価は8月30日の時間外取引で6%以上も下落した。同社はこの1年で評価額を80%近く下げている。
ゴーマン氏は2018年11月にスナップに入社して以来、約4年を同社で過ごした。スナップの前には、アマゾンの広告部門で複数の幹部職を歴任し、6年以上にわたって同社に勤務していた。同氏はまた米ヤフー、バラエティでも広告関連の役職を経験している。
ネイラー氏は約2年半にわたってスナップに勤務した。それ以前は、ストリーミングサービスのHuluで広告営業部門を率いていた。
両氏はネットフリックスにおいてグローバル広告戦略の開発を指揮する。ネットフリックスはサブスクリプションのみのビジネスモデルを脱却し、広告付きサービスを導入することを決めたばかりだ。アドエイジ(AdAge)によれば、ゴーマン氏の直属の上司は最高執行責任者と最高製品責任者を兼任するグレッグ・ピーターズ氏であり、ネイラー氏はゴーマン氏の直属の部下になるという。
ちなみにCampaignは、2022年夏に、ネットフリックスのEMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)地域マーケティング担当バイスプレジデントのダニエル・クルック=デイビス氏が、同社を退職し、ロサンゼルスに戻ることを報じている。同氏は2014年からネットフリックスで勤務していた。