ジー・ワトソン
マッキャン・ワールドグループ日本法人CEO、APACチーフファイナンシャルオフィサー(CFO)日本
ワトソン氏はメディア、クライアント、エージェンシーという異なる立場から、四半世紀以上にわたり世界の広告業界と関わってきた。キャリアのスタートは米メディア大手ターナー・インターナショナルのマーケティング部門。その後、ザ・コカ・コーラカンパニーでグローバルエージェンシーマネジメントのディレクターを務め、サムスンやオグルヴィ・アンド・メイザーでも要職を歴任。マッキャンに入社するとAPAC(アジア太平洋地域)CFOとなり、昨年10月、日本法人のCEOにも就任した。日本の大手クリエイティブエージェンシーでは唯一の女性CEOだ。
コロナ禍が依然として事業に影を落としたこの1年、ワトソン氏は日本でのコストを2桁削減し、増益に尽力。また、複数のエージェンシーと協働する大手クライアントを対象に事業ユニットを創設、自ら監督し、大きな利をもたらした。さらに、クライアントとの事業共創組織「マッキャンアルファ」を創設。パナソニックなど大手企業と製品・サービスのライフサイクルに関するコンセプト創出や、その具現化に取り組む。
APACのCFOとしてはピッチを先導し、10の市場で新事業を獲得。グループの年間売上高4.8%増に貢献した。さらに製品・サービスの新しい価格設定モデルを編み出す「バリュー・カウンシル」も創設。これは市場をまたいだ組織で、その議長も兼務する。すでに各市場・地域・グローバルレベルで新たなモデルを実現させており、シンガポールや香港などでクライアントに利をもたらしている。
日本における経営層のジェンダーバランスは、今も不均衡だ。ワトソン氏はその是正にも積極的に取り組む。2018年にはIPG(インターパブリック・グループ)が主宰する「ウィメンズ・リーダーシップ・ネットワーク」の日本支部を立ち上げ、2021年まで共同議長を務めた。数々のイベントや討論会でジェンダーに関するメッセージを発信するだけでなく、女性に自信を植え付けるワークショップも主宰。学生を対象に、コミュニケーション業界でのキャリアアップや潜在能力の再発見についてレクチャーした。こうした活動の結果、マッキャン従業員の大多数は自社が「多様な考え方を尊重」(80%)し、「管理職は全てのスタッフに敬意を持って接する」企業だと(82%)と捉えている。
*「Women to Watch 2022」の全リストはこちらから
(文:Campaign Asia-Pacific編集部 翻訳・編集:水野龍哉)