不法コンテンツの調査に巻き込まれる形となったこれら企業は、ユーチューブへの広告掲載を停止し始めている。
ビナミルクは報道機関に対し、「ユーチューブ上の違法コンテンツに表示される広告に対して、広告主や広告会社も責任ありという指摘を受け、広告掲載を中止することを決定しました」と述べている。
現地メディアによれば、ミード・ジョンソン、ベトナム航空などもこれに追随するようだ。
ビナミルクのメディアバイイングを担当したメディアコム(WPPグループ)は先日、ユーチューブ上からビナミルクの広告を取り下げ、当面の間は掲載しないよう指示を受けている。
「ユーチューブから報告と解決策が提示されるまで、ユーチューブでの広告活動は一時停止しました。我が社はベトナムの法律に100%従う方針であり、二度と同じ過ちは犯さないことを誓います」。ビナミルクはベトナム政府に提出した書面で、このように述べている。
ベトナムの情報通信省は、わいせつ、中傷、あるいは反政府的な内容を含む少なくとも17本の違法動画の存在を確認したと発表し、先週ユーチューブの捜査に着手した。
また、ユーチューブは外国企業がベトナムで広告活動を営む上で必要な登録書類の提出ができていなかったとみられる。
ユーチューブはこの件に関するコメントに応じていない。
ベトナム政府がわずか数日前に「広告主と広告会社は共に、ユーチューブに掲載される広告の責任を持たねばならない」と表明した途端に広告界が厳戒態勢に入ったようだと、ニュースサイト「Vietnamnet」は報じている。
ユーチューブは無論、不適切なコンテンツや広告をすべてのユーザーが報告できるようにしている。
ベトナムのデジタルメディア「Moblaze」の創始者タルン・ダワン氏はCampaign Asia-Pacificに対して、「UCGサイト(ユーザー作成コンテンツのサイト)に広告を掲載する際には、ブランドが傷つくかもしれないリスクが必ず存在することを忘れてはいけません。リスクゼロは、まずあり得ないのです」と語った。
「今回の出来事を受けて、広告主はブランドを不適切なサイトから守ってくれるプラットホームや、厳選された上質な広告インベントリーを提供してくれるプラットホームに出稿するよう、細心の注意を払わねばならないことに気付くでしょう」とダワン氏は指摘する。
(文:ファーエズ・サマディ 翻訳:岡田藤郎 編集:田崎亮子)