世界のスポーツ界が注目するラグビーW杯2019日本大会の開幕まで、後ひと月となった。それに合わせてギネスが公開したCFは、日本初の女子ラグビー日本代表選手たちがテーマ。彼女たちが創設したチーム「リバティーフィールズ」の苦難の道のりを描いた。
ストーリーの背景となるのは30年前の日本。コーチもチームドクターも何のサポートもない中、同チームは当時の社会規範に抗ってラグビーと取り組み、初の女子W杯(1991年)への参加を目指した。
公開されたCFは60秒のテレビ広告(上)と、リバティーフィールズの当時のメンバーの声を収めた5分間のドキュメンタリー版(下)。制作を手がけたのはロンドンに本社を置くアボット・ミード・ヴィッカーズBBDO。
5分間のバージョンでは、元メンバーの太宰由紀子氏が「パワハラ、セクハラは当たり前の時代だった」と当時を振り返る。「女は可愛くて若くて、ちょっと仕事やって、結婚してやめていくというのが当時の男の人の理想」。同じく岸田則子氏は、1988年に日本ラグビー協会から「女子は危険だから(正式なチームとして)認めない」という通知を受け、自分たちで組織を作った経緯を語る。
同氏はこのように続ける。「結局(女子ラグビーが)なくなってしまえば、負けたことになる。存続させるために続けてきたのは、やはり負けたくなかったから。男でも女でもなく、こういうスポーツが好きな女性もいることを社会的に認めて欲しかった」。
このCFはギネスが長年展開しているキャンペーン「Made of more」の一環。包摂性を広く訴え、2014年からはラグビーも題材に取り入れている。
男子ラグビー欧州6カ国対抗戦の冠スポンサーであり、公式ビールでもあるギネスは、今年2〜3月に行われた女子6カ国対抗戦でも初の企業スポンサーを務めた。
女子イングランド代表のダニエル・ノーリ・ウォーターマン選手はこのCFを賞賛、「ストーリーのほとんどは今でも私にとってリアリティーがある」とコメント。
「先駆者の女性を語り継ぎ、讃えることには大きな意義があります。だからこうしたストーリーを伝えていくのは本当に素晴らしい。包摂性と多様性をいかに捉え、取り込むかが未来への成功の鍵ですから」
(文:エメット・マクゴナグル、翻訳・編集:水野龍哉)