Shawn Lim
2022年11月18日

「わからないものには手を出すな」:マクドナルドのゲームへの取り組み

ゲームのような新しい分野は、進化するにつれますます複雑化し、ブランドにとっては活用が難しい場合がある。マクドナルドのユージン・リー氏が、ビジネス目標に即しながら、この新しいチャネルや手法をどのように選択しているか語った。

「わからないものには手を出すな」:マクドナルドのゲームへの取り組み

シンガポールで11月9日に開催された「Campaign Game Changers 2022」で、マクドナルドのアジア担当最高マーケティング責任者、ユージン・リー氏が、自社のゲームに対するアプローチを紹介してくれた。

この記事では、リー氏がこのセッションで語ったいくつかの重要なポイントを紹介する。

マクドナルドが望むゲームプラットフォーム

「私たちは、プラットフォームにこだわっていません。そのような捉え方はもはや過去のものだからです。(代わりに私たちは)価値のあるゲームタイトルに照準を合わせたいと思っています。まず、そのゲームが自社に適したオーディエンスを持っているかを確認し、次に、そのゲームがマクドナルドにとってふさわしいかを調査します。当然、暴力的なタイトルは避けなければなりません。そのため、ほとんどはゲーム専用機でプレイされるサッカーゲームなどとなり、ターゲットはそのオーディエンスになります」

ゲームでのキャンペーンに対するマクドナルドのアプローチ

「この場にいるマーケターの方々に伝えることのできる(最適な)アドバイスの一つは、わからないものには手を出すな、ということです。これが極めて重要な理由は、ざっくばらんに言えば、広告が偽物だとゲーマーはすぐ嗅ぎつけるからです。広告を出しさえすれば、ゲーマーから手っ取り早くお金を稼げるなどと考えてはいけません。私はいつも、今のゲーマーは、20年前にスケボー文化が生まれたときの、スケートボーダーのようなものだと言っています。ナイキは、スケートボードの世界に食い込もうとかなり前から取り組んできましたが、スケボーの世界に加わる真正性が足りなかったために惨敗しました。ボーダーたちには、恐喝のように見えたのかもしれません」

ゲームのライブ配信やトーナメントにブランドを違和感なく溶け込ませる

「まず、ブランドがフィットしているかどうかを、過去にさかのぼって確かめる必要があります。現地で開催される大きなトーナメントばかりを追いかけ、そのトレンドに便乗しようとするのは、マーケターのするべきことではありません。自社のブランドがそのゲームやグッズをターゲットにするのに本当に適しているのか(自問する必要があります)。ゲームのライブ配信やトーナメントと自社ブランドとの接点を見つけ出さなければなりません。私たちは、幸いなことに『マックデリバリー』サービスがあるため、ゲーム中に(食べる)ハンバーガーやフライドポテトを簡単に注文してもらえます。この無料配達サービスのおかげで、私たちは自然にフィットすることができたのです。たとえば、マックカフェを出店してゲーマーとの接点を作ろうなどとはしませんでした」

マクドナルドがゲームクリエイターと協力する方法

「私たちはクリエイターと仕事をするのが大好きです。なぜなら、クリエイターはみな質の高い顧客とファンベースをもたらしてくれるからです。彼らが作るコンテンツは、依頼して作ってもらったコンテンツとはまったく違ったものになります。私たちが彼らに望むのは、テレビCMを撮ることではなく、彼らのプラットフォームで彼らならではの取り組みをしてもらうことです。新しいハンバーガーを発売する際、彼らはそれをオーディエンスに伝えるための最適な方法を見つけ出してくれます。クリエイターに自由を与え、彼らを信頼すれば、彼らと一緒に仕事をするのは難しいことではありません。彼らの活動を監督(しようと)せず、(彼らに任せて)できる限りやりたいようにしてもらえばよいのです。私もユーチューブ動画をたくさん見ていますが、動画の中にはスポンサーからの告知が入っているものがあります。うまくフィットしているスポンサーもありますが、ブランドが(動画の中でクリエイターに)特定のことを言わせようとして、とても不自然になっているものも見うけられます」

ゲームのROIを測定する

「それは答えるのが本当に難しい問題で、私には答えられません。ROI(費用対効果)に関して、たとえばソーシャルメディアについて言えば、この会場にいる人の中で、10年前にフェイスブック広告を始めたときに、そのROIが何であるかを答えられた人はいないでしょう。それでも参入したのは、それが、ミレニアル世代が利用するプラットフォームだと理解していたからです。今日のゲームも同じです。ROIを測定する最も簡単な方法は、クーポンコード(で何かを注文できる機能)をコンポーネントとリンクさせて、クーポンを利用している顧客の数を測定することでしょう。ちなみに、マーケティングの費用対効果測定として、マクドナルドが実際に行っているのは、年1回のブランド調査です。(この調査で)どのチャネルが、私たちにとって効果的なのかを確認することができます」

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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