グーグルは、広告管理機能を刷新し、広告に表示されるブランドやトピックをユーザー自身が管理できるようにすると、5月11日に開催された、同社の年次開発者会議「グーグルI/O」で明らかにした。
その新機能「マイ・アド・センター」は年内に導入される予定で、グーグルユーザーは、目にする広告を直接、またはセンターのハブ内で管理することができるようになる。マイ・アド・センターは、現在の「広告設定」管理パネルの代替となるものだ。
Campaign USがプレビュー版で確認したところ、グーグル検索やディスカバー、ユーチューブ広告の左側に表示される3点ドットマークをクリックすると、オプションメニューが表示された。このメニューは、「この広告について」機能の代替となるもので、広告を出稿した企業や、ターゲティングに利用されたユーザー属性情報などを確認することができ、その広告について報告したり、ブロックしたり、または「役立った」と評価することが可能だ。
新たに開発された機能では、ユーザーは、特定のトピックや特定のブランドに関する広告の表示頻度を調整できるようになる。
ユーザーは、アカウント設定からマイ・アド・センターにアクセスすることで、持ち家の有無や配偶者の有無などの、グーグルが収集または推測したユーザー属性情報を変更することができる。そして、変更した属性には「本人確認済み」というラベルが表示される。特定の属性を選択して、広告への使用を無効にするということも可能だ。グーグルが、初めて広告ターゲティング用データセットをユーザーが直接無効にできるようにしたのは2018年のことだ。
ユーザーの意思決定の選択は、センターの「カスタマイズ」メニューに集約され、「Sensitive(デリケートな情報)」タブでは、ギャンブル、アルコール、出会い系、ダイエット、妊娠と育児などの広告表示をオプトアウトすることが可能だ。Sensitiveタブ内のリストは、今後さらに追加される可能性もあると、グーグルで製品管理ディレクターを務めるデビッド・テムキン氏はCampaign USに語った。
これまでと同様、広告のパーソナライズを完全に無効にすることも可能だ。ただしグーグルは、この新しい管理機能は、ユーザーにパーソナライゼーションのメリットをもたらすとみている。
「当社は、パーソナライズされた広告は、映画、コマース、ニュースのレコメンドと同様、有意義なものだと考えている。ユーザーにとって、役立つものや興味があるものを発見できる優れた手段であり、これを可能にするのがパーソナライズだ」と、テムキン氏はあるインタビューで述べている。「これによって、広告への信頼が高まり、広告がますます人々の役に立つようになると考えている」
テムキン氏は、パーソナライズ機能を完全に無効にしているユーザーは「それほど多くない」と言う。しかし、そうしたユーザーは、自分のデータを管理することへの関心が高いと説明する。「この製品は、そのようなユーザーがアルゴリズムを管理できるようにするものだ」
グーグルは数年前から、ユーザーデータや広告体験の透明性を高め、ユーザーがより細かくデータを管理できる機能を提供してきた。規制当局による監視や消費者のデータリテラシー向上に対応するためだ。
広告主への影響
テムキン氏は、「広告主にとって大きな変化が起こるとは考えていない」と言う。しかし、この新しい管理機能によって、ユーザーをターゲティングする能力に影響が及ぶ可能性はあるだろう。
またテムキン氏は、ユーザーが、特定の広告主やトピックの表示回数を減らすようになったとしても、「広告効果にとって実質的なマイナスになるとは限らない」と話す。
「我々が目指しているのは、人々が関心を持っていることに、より主体的に関わり、発言できるようにすることだと思っている。(マイ・アド・センターは)人々にとって、非常に強い意思表示の機会になるだろう」と、同氏は付け加えた。
マイ・アド・センターがもたらす変化の中には、ユーザーが最近目にした広告をもう一度見られる新機能など、「広告主にとってプラス」となる機能もあると、テムキン氏は語った。