ブランドが「ブランドパーパス」についてどれほど語ろうと、セールス面から見れば空論ではないかと考える人がいるかもしれない。
だが実際には、ブランドとしての立場を明確にすることはビジネスの拡大につながっている。
そう結論付けたのは、設立まもないブランド測定企業のブリティ(Vrity)だ。同社は3月1日、ブランドの価値観を伝えるメッセージが購買傾向に与える影響を測定するプラットフォーム「Values Return Index」を発表した。
ブリティはまた、消費者1,000人を対象とした、ソーシャルメディアにおける消費者心理の調査を実施し、人工知能(AI)を使って分析した結果を発表した。それによると、消費者がブランドを比較して選択する際に、ブランド価値が決定要因になりつつあるという。
具体的には、調査参加者の82%が、自身にとって重要な社会的大義を支持するブランドを選ぶためならプレミアム価格を払うことを厭わないと回答した。また、調査参加者の43%が、そのブランドを支援するためなら他のブランドの2倍の金額を払っても構わないと述べている。
「ブランドを差別化したいなら、ブランドが支持している価値観を明確にすることだ」と、ブリティの共同設立者、ジェシー・ウォルファースバーガー(Jesse Wolfersberger)氏は述べている。「我々の調査から、(2020年に)本当の転換点が訪れたことがわかっている。人々が『私は自分のお金を使ってこのブランドを支持する。それは今まで以上に大切なことだ』と言うようになったのだ」
また、調査参加者の半数以上(55%)が、1年前よりもブランド価値により関心を持つようになったと述べ、37%の人が社会問題に声を上げないブランドの商品は購入しないと回答している。
さらにブリティは、スーパーボウルのテレビ中継で放映された社会的責任を訴求するCMが、その企業の収益面にもたらした影響を分析した。たとえば、ビール会社のアンハイザー・ブッシュは、パンデミックの終息後に人々が直接出会うことの大切さを訴えたスポットCMの効果で、購入検討率が156%増加したという。同様にゼネラルモーターズも、電気自動車に焦点を当てたスーパーボウル向けCMの影響で、健康、喜び、革新性といった価値スコアが10%増加し、購買傾向も153%増加した。
「価値経済の枠組みは我々が発明したものではない。だが、ブランド価値について、それを気にするのは子供や未成人の若者だけだとして、過小に評価されているようだ」と、ウォルファースバーガー氏は指摘する。「だが、それは事実ではない。実は誰もが気にかけていることなのだ」