David Blecken
2019年5月17日

世界マーケティング短信:より強固な団結を目指す電通

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

写真:Shutterstock
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※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

「スロースタート」となった電通、2020年より純粋持株会社体制に移行

国内最大の広告会社である電通の、今年の第1四半期のオーガニック成長率は1.6%減(前年同期比)、その内訳は国内2.7%減、海外0.7%減であった。売上総利益(為替影響排除ベース)は2.3%増(同)、調整後営業利益は224億円(同25.3%増)。マス4媒体市場の減少傾向や、アジア太平洋地域のマイナス成長による「スロースタートとなった」と同社は説明するが、第2四半期以降は増収や新規獲得を見込んでおり、通期の連結業績予想は変更しないとのこと。

同社は2020年1月に純粋持株会社体制への移行を予定している。あらゆるグループ会社を傘下に抱える新会社「株式会社電通グループ」は、経営体制強化や国内・海外事業の統合を目指していく。

フィリップモリス、またもや若いインフルエンサーを起用

米たばこ大手フィリップモリスが若いインフルエンサーを使って加熱式たばこ「IQOS」をPRしたとロイターが報じ、同社はSNSを使ったグローバルキャンペーンを中止した。キャンペーンは日本の他、ロシア、イタリア、スイス、ルーマニアなどで実施されていた。同社によると、法律には違反していないものの、「インフルエンサーは25歳以上であること」と定める同社自主基準は満たしていないことを認めた。

昨年は、インフルエンサーを使って新たな喫煙者を増やそうとしているとの調査結果をNPO団体「たばこフリーキッズ」が発表し、同社はこれを否定したものの苦境に立たされることに。あくまでも既存の喫煙者を通常のたばこから無煙たばこに切り替えさせることを目指すものであり、新たな喫煙者を増やすことを目的としていないと、同社は主張する。

広告ブロッカーの使用は減少、だがパブリッシャーの苦悩は続く

広告ブロッカーの利用は約12%(2017年)から約10%(2018年)へと減少したが、広告ブロックによるパブリッシャーの損失額は過去1年間で3割以上ふくらみ、1800万ポンド(約25億円)となった。オンライン出版社協会(Association of Online Publishers)の監査によって明らかになった。モバイルの広告ブロックは2.4%へと倍増。利用率は低いものの、ブロックされたインプレッション総数が増加したため、パブリッシャーの損失は拡大した。

アドブロック・プラス社の幹部がCampaignに語ったところによると、人々は広告を完全にブロックするのではなく、フィルタリングするようになっているという。ここから広告主企業が得られるのは「関連性がある、迷惑にならない広告を配信すること」というシンプルな教訓だ。だが現実は今もなお程遠いことは、インターネットを閲覧したことのある人ならば誰もが認めるだろう。

不適切コンテンツの取り締まりに向けた、フェイスブックの新たな取り組み

米フェイスブック社が規定を変更し、「最重要方針」に違反したユーザーは即刻、ライブ配信を一定期間利用できなくなる(期間については明示されていない)。この改定は、3月にニュージーランドで発生した銃乱射事件がライブ配信され、テロリストのコンテンツの拡散が懸念されたことを受けたもの。テロ事件後、さまざまなブランドがフェイスブックへの広告掲載を取りやめた。同社はまた、有害なコンテンツをより検出できる方法を研究するため、750万米ドルを投資する。

その他の今週の動き:

  • ディズニーのグローバルでのメディア事業のアカウント獲得をめぐり、OMD、電通イージス・ネットワーク、マインドシェアが競合中だ。
  • グーグルが新しい広告フォーマットを複数発表し、広告主がモバイルユーザーに訴求できる場が大幅に増える。例えばスマートフォン用の同社アプリのトップ画面や、画像検索の結果画面への掲載が可能になる他、グーグルマップのインベントリーも増やす予定。
  • 母親がこれまでかけてくれた愛情や懸命な努力に対して、感謝の気持ちを示すのに、マクドナルドのテイクアウトは本当にふさわしい方法なのだろうか? シンガポールでラマダン(イスラム教徒の断食期間)に合わせて放送されたCMによると、そのようである。あまり賛成はできないのだが…(特に最後の母親の表情は、感謝というより「子育てを誤った」という自責がこめられているようにも見える)。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳・編集:田崎亮子)

提供:
Campaign Japan

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