AKQA、在宅勤務中の士気を高める放送局を開始
在宅勤務中の世界中の社員のため、AKQAはラジオ「WFHFM(ワーク・フロム・ホームFM)」を立ち上げた(同社サイトで公開されている)。ソーシャルディスタンシング(社会的距離)の措置の中でもコミュニティーを維持し、創造的なイノベーションを促すことを目指すもので、同社社員が運営する。現在は社員約300人が、ブラウザーやモバイルで視聴しており好評なため、コロナ終息後も放送は継続されそうだ。
広告支出、業種によって激変
世界の広告支出がここ4週間で激変したことが、パブマティックの調査で明らかになった。同社がグローバルの広告主の、月ベースで13兆を超える買い付けのデータを分析したところ、3月上旬(3月1~7日)から下旬(3月25~31日)の間に、広告支出はわずかに減少していた。だがその内訳を見てみると、広告主の業種によって大きく異なる。広告支出が最も大きく増加したのはニュース(+82%)で、教育(+32%)、趣味(+30%)がこれに続く。最も大きく減少したのは旅行(-90%)で、スポーツ(-69%)、法律/政府/政治(-64%)が続く。
トラフィック増加によって、ニュース産業はeCPM(有効インプレッション単価)も+132%上昇。続く科学(+35%)、趣味(+22%)と比べても圧倒的な上昇率だ。
グーグルとツイッター、新型コロナ関連広告の配信禁止措置を撤回
誤った情報が拡散することを防ぐため、グーグルとツイッターは3月上旬、新型コロナウイルスに関連する広告を禁止していた。しかしこの措置を、両社とも撤回したことが分かった。アドエイジ(Ad Age)によると、ツイッターのサラ・パーソネット氏(クライアントソリューション責任者)は「ブランドや企業が発信するメッセージは、ポジティブに受け入れられるでしょう」とコメント。
グーグルの方向転換は、新型コロナウイルス関連の広告禁止によって、トランプ大統領(今年の大統領選にも出馬)のパンデミックへの対応も批判できないと民主党が指摘したためとプロトコル(Protocol)は報じている。
多国籍ブランドの8割がキャンペーンを延期
世界広告主連盟(WFA)が主要な多国籍ブランドに調査を実施したところ、予定していたキャンペーンを延期したというマーケターは8割に上った。延期期間は1~2カ月と回答したのは34%、3カ月と答えたのは28%と、両者で訳半分を占めるが、半年の延期を検討しているブランドは13%であった。
79%ものブランドが、コロナ危機に関連したキャンペーンを制作したと回答しており、32%は既に公開、18%も間もなく公開するとのこと。それにもかかわらず、マーケティング予算を削減していると回答したブランドは半数以上(57%)であった。
WFAは3月末のオンラインセミナーに参加したメディアリーダーに対しても調査を実施。こちらではメディア予算が平均23%削減されるという予想で、40%以上削減されると考えている回答者は約2割であった。その一方で、企業も厳しい状況下にありながら「非常に人間味あふれる勇敢なアプローチで、緊急時の社会を支えています。エージェンシーやパートナー企業のサプライチェーンにとって、ブランドによる支援が今まで以上に必要であることを理解しており、連帯を表明しています」とWFAのステファン・レールケCEOは語った。
制約をアイデアで乗り切ったCM
国内外への移動が多く、大人数が集まりがちな広告制作も、外出自粛やソーシャルディスタンシングによって大きく影響を受ける現場だろう。HK4As(香港廣告商會)のエグゼクティブディレクターであるオニー・チュウ氏は、多くのエージェンシーやクライアントが不透明な状況に置かれていることや、「責任ある企業市民として」緊急でないプロジェクトを延期していることから、「今は最小限のプロダクションしか行われていない」と明かす。
このような状況下であっても、広告制作は可能だということを証明するような作品を2点ご紹介しよう。まず一つ目は、イケアがシンガポール向けに制作したショートフィルムだ。コンセプト立案から撮影、編集まで5日以内で完結したという。企画・制作はTBWAシンガポール。
二つ目にご紹介するのは、BMWの中国向けの動画。主に抽象的な画像で構成されているが、同社の新しいSUVや、同社が物資を寄付する様子も映り込む。青空と白い雲は、BMWのマーク(独バイエルン州の青空と白い雲を象徴)をイメージしたもの。企画・制作はJuice Network(北京)。
(文:田崎亮子)