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アルファベット社の広告事業が不調
アルファベット社の7~9月期(第3四半期)の売上高は690.9億米ドル(前年同期比6%増)で、ここ数年で最も低い成長率だった。検索広告は395.4億米ドルで前年同期と比べると4%増だが、第2四半期(406.9億米ドル)と比較すると2.8%減少した。ユーチューブ広告は70.7億米ドル(前年同期比1.9%減)、ネットワーク広告は78.7億米ドル(同1.6%減)。広告全体では544.8億米ドルで(同2.5%増)となったが、第2四半期からは3.2%減少している。
同社のスンダー・ピチャイCEOは業績発表の場で、2021年に成長率が大幅に上昇したことが、今期の苦戦に影響を及ぼしたと述べた。またルース・ポラットCFOは、企業が広告予算をより一層縮小したことが、減速につながったと語った。保険や住宅ローン、暗号資産など金融関連の検索広告が削減された一方で、旅行や小売関連の広告は伸びたという。
低調な広告売上とメタバース事業の赤字拡大 メタ社
フェイスブックを運営するメタも第3四半期の業績を発表し、売上高は277.1億米ドル(前年同期比4%減)、純利益は44.0億米ドル(同52%減)だった。アプリ(フェイスブックやインスタグラムなど)の広告インプレッション数は17%増えたものの、平均広告単価は18%減少し、広告事業の売上高は272.4億米ドル(同3.7%減)となった。
VR/ARを手掛けるリアリティ・ラボ(Reality Lab)部門の売上高は2.9億米ドル(同49%減)。営業赤字は36.7億米ドル(同40%増)に増え、「2023年の損失は大幅に拡大する」と同社は予測している。
イェ、差別的な発言で契約が次々と解消に
米ラッパーのイェ(Ye、昨年カニエ・ウェストから改名)が差別的な発言を繰り返したことを受け、2013年から提携してきたアディダスが契約を解消した。共に進めてきた「イージー(Yeezy)」の事業を直ちに終了する。これにより、アディダスの2022年度の純利益は最大で2.5億ユーロ減少するとみられる。アディダスは「反ユダヤ主義や、その他いかなる種類のヘイトスピーチもアディダスは容認しない」とコメント。「イェの最近の言動は憎悪に満ちた危険なもので、受け入れがたい。多様性と包摂性、相互尊重、公正という当社の価値観と反するものだ」。
これまでさまざまなブランドと提携していた同氏だが、Gapやバレンシアガなどが契約を解消。所属していたタレントエージェンシー「クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー」も契約を打ち切っている。
広告大手のWPPとIPGも業績予測を上方修正
広告最大手WPPの第3四半期は、純売上高(売上からパススルーコストを除外した金額)が29.9億ポンドで、前年同期比3.8%増となった。通年の業績予測は上方修正したが、広告のビッグ4の中では最も低い成長率といえる。同社では成長を支えるために、人材、データ、テクノロジーへの投資を継続してくとマーク・リードCEOは述べた。フリーランスへの外注費の増大が制御不能になっているのではないかとCampaignが尋ねたところ、同氏はこれを否定し、「非常にタイトな労働市場の中でクライアントをサポートするのに役立った」と語った。
インターパブリックグループ(IPG)の第3四半期の売上高は26.4億米ドル(同3.8%増)だった。オーガニック成長率は5.6%で、第2四半期(7.9%増)と比較すると成長のペースは鈍化しているものの、通期の業績予測を6.5%から7%へと上方修正した。ピュブリシスとオムニコムも先週、業績予測を上方修正している。
豪州の魅力を探る 合言葉は「グッデイ」
カンガルーとユニコーンのキャラクターが豪州の観光名所をめぐる9分の動画『グッデイ(G’day)』が、世界で同時公開された。魔法を使えるというユニコーンのおもちゃ「ルイ」が、土産物店でカンガルーのぬいぐるみ「ルビー」と出会い、シドニーやメルボルン、ニトミルク国立公園、ウルルなどを冒険する。企画を手掛けたのはM&Cサーチ・シドニー、プロダクションはフィンチ・カンパニーで、映画『グレイテスト・ショーマン』で知られるマイケル・グレイシー氏が監督を務めた。
英語のオリジナル版の最後には、ルビーの声を担当した女優のローズ・バーン本人が登場し、「グッデイ。それは素晴らしい出来事が起こるオーストラリアの合言葉」と語る。日本語版の吹き替えは高橋メアリージュンが担当した。
(文:田崎亮子)