※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。
大手広告主がスーパーボウルCMを見合わせ
世界一高額なスポットCM枠ともいわれるスーパーボウル(アメリカンフットボールの優勝決定戦)のCMに、毎年話題作を放送してきた広告主が今年は出稿を見合わせるという。アンハイザー・ブッシュが、同社主力商品バドワイザーのスーパーボウルのCM放送を見送るのは、スポンサーになってから37年間で初めてのこと。広告費用を、COVID-19ワクチンの啓発活動に充てる。ただし他の商品(バドライト・セルツァーやミケロブ・ウルトラ)については、放送を予定している。
コカ・コーラ、ペプシ、アウディなどもCM放送を見合わせる一方で、メルカリ(フリマアプリ)が初めてCMを出す予定だ。その他の広告主の動向についてはこちら(英語)。
コロナ禍で苦境に立たされる女性を、スキンケアブランドが支援
COVID-19による失業や休業、労働時間削減などの影響は女性の方が受けやすいといわれる。「recession(不況)」と、女性の人称代名詞である「she」を組み合わせて「shecession」と呼ばれることも。日本でも、女性が多く働く対面型サービスが大きな影響を受けており、特に非正規雇用の女性への影響が顕著だ。
そんな女性を一石を投じるショートフィルムを、No7(スキンケアブランド)が米国で展開している。「これまで25年間の進歩が、一掃される危険にさらされている。でも私たちは立ち上がり続ける」と語りかけるこの動画は、制作クルーの9割が女性、登場するエキストラたちも実際に不況の影響を受けた女性たちだ。また同ブランドは、女性の再就職を支援するオンラインイベントや、無料のコーチングセッションも、さまざまな団体などと協働しながら開催していく。
ワッツアップ、プライバシーポリシー改訂を延期
プライバシーポリシーを2月8日に改定すると先日発表した米メッセージアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」が、大きな反発を受けて発効を延期した。同アプリはこれまでもユーザーの個人情報を、親会社であるフェイスブックと共有してきたが、今回そのオプトアウトができなくなり問題視された。プライバシーへの意識が世界的に高まる中、1月14日までの10日間でインストール数は16%減少し、競合アプリに切り替えるユーザーが増えていた。
「ユーザーがどのメッセージングプラットフォームを採用するかは、その人の交友関係に完全に依存するもの」とオグルヴィ・オーストラリアのエクスペリエンステクノロジー責任者、ジェイソン・デイビー氏は語る。「プライバシーポリシー更新の問題だけで、世界中で20億を超えるユーザーがワッツアップから切り替えて、新しいアプリの使い方を学び、連絡先を設定し直すとは思えません」。たとえ切り替えたとしても、ワッツアップを使い続ける友人のために、しばらくはアプリを残しておくとも考えられる。プライバシーへの意識が高いユーザーも、まだ大多数とはいえない。
ワッツアップのユーザー数の減少は「短期的なものとなる可能性が高い」と語るのはフォレスターのシニアアナリスト、シャオフェン・ワン氏。だが透明性や合意取得のあり方を改善し、それを適切に伝えることができなければ「長期的には深刻な問題となるでしょう」と警鐘を鳴らす。詳しくはこちら(英語)。
ブランドパーパスへの共感が、生活者と社員を動かす
博報堂が生活者2000名を対象に実施したブランドパーパス(社会的存在意義)に関する調査によると、地球規模での環境問題などよりも、個人情報保護や感染症防止、街づくりといった身近な社会問題への関心が高くなる傾向があり、関心を持つテーマは年齢によって異なる。ブランドパーパスを最も重視しているのは20代で、年齢が高くなるにつれ関心を持つ人の割合は減少。生活者はパーパスに共感したブランドについて、広告を意識的に見たり、積極的にブランドのことを調べたり、多少値段が高くても購入することも明らかに。
従業員についても、ブランドパーパスに共感している社員は、仕事を続ける理由として「楽しいから」「成長を達成できるから」を挙げる割合が高くなるという。
電通、全国51都市のブランドイメージを調査
電通の社内横断チーム「dentsu abic(電通アビック)」は、首都圏在住の1600名を対象に、全国の県庁所在地や政令指定都市のイメージにまつわる調査を行った。一般的によく見られるような、ランキングに並べる形式のものではなく、それぞれの都市について「観光来訪」「愛着」「応援」「ファン」など8つの行動意向を分析して構造化した。同社はこの調査の知見を活かし、対話型コンサルティングサービス「プレイス・ストーリーズ」を開始する。サイトには、各都市のストーリー構造が紹介されている。
(文:田崎亮子)