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デング熱対策にシマウマ柄のカーテンを無料配布
バングラデシュで衛星を通じた番組配信を手掛ける「アカシュ・デジタルTV(Akash Digital TV)」はグレイ・バングラデシュと共に、デング熱対策キャンペーンを展開した。デング熱への感染を防ぐには、ウイルスを媒介する蚊に刺されないようにすることが肝要だが、特に低所得者層が暮らす地域では屋外で人と会う習慣や、蚊よけの薬剤の購入が経済的に困難などといった理由から、対策は思うように進んでこなかった。
しかし、愛知県農業総合試験場と京都大学の研究結果によると、シマウマのような模様には蚊が近寄りにくくなるという。これを活用したのが今回のキャンペーンで、アカシュ社はダッカ最大のスラム街で啓発活動を実施し、シマウマ柄のカーテンを無料で配布した。
佐藤カズー氏、チーフ・クリエイティブ・サステナビリティ・オフィサーに就任
TBWA HAKUHODOでチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)を務めた佐藤カズー氏が、同社ならびにTBWA Asiaのチーフ・クリエイティブ・サステナビリティ・オフィサーに就任した。同氏は地球環境学の修士課程に進むため、今年の3月末でCCOを退任している。今後は学業を続けながら、クライアントの企業価値発掘や、社内にサステナビリティーを考慮した文化を浸透させるトレーニングやメンタリング活動にも携わっていく。
「地球が抱えるサステナビリティー課題を解決するための、一番の武器はクリエイティビティーです」とコメントするのは、TBWA Asiaのプレジデントであるショーン・ドノバン氏だ。「アジア地域における人的資源の1.5%をサステナビリティー関連に活用するというKPIを設定しました」。
TBWA HAKUHODOの井木クリスCOOも、「カズーはこれまで一貫して、クリエイティブの力で人々の生活にディスラプション(創造的破壊)をもたらし、社会や地球にポジティブなインパクトを与えてきました」と述べる。「今回の就任は、より大きな舞台でそれを追求できる、彼にとって素晴らしいチャンスだと考えます」。
電通グループ、ディグ・イントゥ社を買収
電通グループが、デジタルマーケティングの運用会社「ディグ・イントゥ」を買収した。ディグ・イントゥ社は2018年の設立当初より、電通デジタルのデジタル広告領域でパートナー企業として事業規模を拡大してきた。このたび国内事業を担う電通ジャパンネットワークに参加し、電通デジタルとの連携を深化することでデジタルマーケティングの運用体制を強化していく。
なお、ディグ・イントゥ社は6月1日付で「株式会社電通デジタルアンカー」に改称する。デジタルマーケティング業務のバリューチェーンの中でもエグゼキューションのゴールまでしっかり走りきる「アンカー(最終走者)」の役割を担う、という想いが新社名に込められている。
D&AD賞が受賞作品を発表
D&AD賞の2022年の受賞作品が、先日発表された。イエローペンシルを受賞したアジア太平洋(APAC)地域の作品は15点(昨年は7作品)、最高賞であるブラックペンシルを受賞したのは1作品(昨年は無し)だった。APAC地域の入賞作品は合計265作品(昨年は148作品)で、トップは豪州(56作品)、続いて中国(46作品)、日本(44作品)。詳しくはこちら(英語)から。
あらゆる世代に好まれる動画は制作可能か?
1985年に創業したタイの鶏肉料理チェーン店「ファイブ・スター・チキン(Five Star Chicken)」は、顧客の多くがベビーブーマー世代やX世代で、Y世代やZ世代とのエンゲージメント構築に課題を抱えていた。そこであらゆる世代に共感される「完璧な広告」を作るため、街頭でアイデアを募り、それを全て動画に盛り込むことにした。動画がカオスに満ちたものに仕上がることは、想像に難くないだろう。実際に8分ほどの動画にはゾンビや悪党、ハリー・ポッター(後にプリンセスの衣装に代わる)、ボクサー、プラスチック製の鶏、マジシャンなどが登場する。
さまざまな考えや意見を、一つのストーリーにまとめるのは難しい。だが不可能ではない。少なくとも、美味しい鶏肉料理が好きという点で共通している。「すべての世代を一つにまとめる味」ということなのだ。企画・制作はBBDOバンコク。
(文:田崎亮子)