障がい者雇用に従事し、社会的影響力も持つ成澤俊輔氏がCampaignの取材に応じ、「障がい者に最も理解ある国内企業の1つはユニクロ」と語った。
成澤氏は、障がいを持つ人々の労働環境の改善や就労機会の創出を支援するNPO法人FDA(Future Dream Achievement)の理事長。日本の法令は企業に対し、社員50人につき1人以上の障がい者を雇用するよう求めている。成澤氏は、「この点でユニクロは極めて積極的」と話す。
同社は国内各店舗で、最低1人の障がい者を採用する目標を掲げる。国内外を統括する広報担当者によれば、現在世界で1500人の障がい者を採用しており、この取り組みはファーストリテイリング傘下の他企業にも広がりを見せているという。また各支店長が障がいを持つスタッフとより効率的に働けるよう、ユニクロの人事部門には日本政府公認の「ジョブコーチ」が配属されている。
障がい者が店舗で働くことは、「障がい者を持つ家族に限らず、一般の人々の善意を強く呼び起こすきっかけになります」と成澤氏。
残念ながら他の主要企業ではほとんど見られないが、ユニクロはブランドアンバサダーにも障がい者を起用する。共に車椅子テニスプレーヤーである国枝慎吾氏とゴードン・リード氏(この7月にパートナーシップを締結)だ。同担当者によれば、全てのアスリートたちは「彼らの個人的資質に基づいて選ばれており、障がいとは無関係」。それでも、障がい者を企業イメージの象徴として選ぶことは「包括性」という社会への重要なメッセージとなる。
もう1つ忘れてならないのは、これらアンバサダーからのフィードバックを製品デザインの改良に取り入れていること。彼らの意見は、「彼らが実際に身に付ける高機能ウェアからカジュアルウェアのラインにまで及ぶ」という。
障がい者を積極的に採用する方針が、「ブランドの認知度にどれほど寄与しているかは調査していません」。「もちろん関心はあります。しかしこうした姿勢こそユニクロが追求する価値観そのもの –− そう顧客が理解してくれると確信しています。それが自然と、顧客と世界中のステークホルダー(利害関係者)との繋がりを強めてくれればいいですね」。
一般の広告やマーケティングで障がい者があまり取り上げられないことに関しては、「特に意見はありません」。だが、「障がい者をもっと社会的意義のあるプログラムに参加させる余地はあると考えます」。その具体例が、同社のサステイナビリティプログラムへの国枝氏の起用だ。
「他のアンバサダーたちも、一人ひとりに意義あるやり方でユニクロを通して社会貢献ができるよう、サポートしていきたいと考えています」
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:岡田藤郎 編集:水野龍哉)