クリエイティブエージェンシー部門で金賞を受賞したのは今年もTBWA\HAKUHODOで、その地位を不動のものとした。同社は新たな成長機会の開拓に注力しており、6月のカンヌライオンズでサイバー部門の金賞を獲得した「景色まるごと自撮りシステムGIGA SELFIE」は商標登録済、特許出願中だ。ほかにも一般社団法人「MAKOTO」と協業してプロフィットシェアリング・モデルのベンチャー支援事業に進出したり、アドビのマーケティングクラウド・ソリューション・パートナーになったりと積極的な展開が光る。マッキャン・ワールドグループジャパンとオグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパンも、あらためてその実力を証明した。マッキャンは人材育成に大規模な投資を行い、オグルヴィは社内文化の多様性を追求したことが今回の結果につながったと言えよう。
メディアエージェンシー部門ではマインドシェアが金賞に返り咲き、メディアコム・ジャパンが銀賞を獲得。マインドシェアは新しい経営陣の下、プロダクトソリューション、アカウンタビリティー(説明責任)、トランスペアレンシー(透明性)の実現に全力を傾けている。銅賞はUMジャパンに贈られた。
TBWA\HAKUHODOはデジタル部門でも強さを見せ、同社デジタルアーツネットワーク(DAN)が金賞を受賞。日産の「インテリジェントパーキングチェア」を手がけたほか、データの積極活用でマーケティングの新境地を開いたことが評価された。アクセンチュア・インタラクティブの入賞も注目に値する。同社は今や日本のデジタルスペースの主要プレイヤーで、クリエイティブコンテンツの開発など幅広いサービスを提供している。その核である分析やコンサルティングと組み合わせたサービスの展開は、従来型の広告代理店にとって今後ますます脅威となるだろう。
日本市場で躍進著しいエデルマン・ジャパンは、PR部門(日本 / 韓国)で金賞を獲得。スペシャリスト部門(日本 / 韓国)では、昨年アイプロスペクトに金賞を譲ったマッキャンヘルスケアワールドワイドジャパンが王座に返り咲いた。
以下、個人部門受賞者を含めた全受賞者のリストをご紹介する。
クリエイティブエージェンシー・オブ・ザ・イヤー(日本)
- 金賞: TBWA\HAKUHODO
- 銀賞: マッキャン・ワールドグループジャパン
- 銅賞: オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン
メディアエージェンシー・オブ・ザ・イヤー(日本)
- 金賞: マインドシェア
- 銀賞: メディアコム・ジャパン
- 銅賞: UMジャパン
デジタルエージェンシー・オブ・ザ・イヤー(日本)
- 金賞: TBWA\HAKUHODO、デジタルアーツネットワーク
- 銀賞: 電通アイソバー
- 銅賞: アクセンチュア・インタラクティブ
PRエージェンシー・オブ・ザ・イヤー(日本/韓国)
- 金賞: エデルマン・ジャパン
- 銀賞: アシュトン・コンサルティング
- 銅賞: エデルマン・コリア
スペシャリストエージェンシー・オブ・ザ・イヤー(日本/韓国)
- 金賞: マッキャンヘルスケアワールドワイドジャパン
- 銀賞: アイプロスペクト・ジャパン
- 銅賞: ターギス
アカウントパーソン・オブ・ザ・イヤー(日本/韓国)
- 受賞: 吉井寿浩、 TBWA\HAKUHODO
- 次点: 惠本浩透、 電通アイソバー
エージェンシーヘッド・オブ・ザ・イヤー(日本/韓国)(協賛:アクセンチュア・インタラクティブ)
- 受賞: ケヴィン・グァンス・コウ 、DDBグループ・コリア
- 次点: 得丸英俊、 電通アイソバー
クリエイティブ・オブ・ザ・イヤー(日本/韓国)
- 受賞: 近山知史、 TBWA\HAKUHODO
- 次点: アジャブ・サムライ、 オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン
ニュービジネスディベロップメントチーム・オブ・ザ・イヤー(日本/韓国)
- 受賞: ソーシャルメディアマーケティングチーム、 電通アイソバー
-
次点: ニュービジネスディベロップメントチーム、伊藤太郎、石倉一誠、田中啓之、
鈴木智、 TBWA\HAKUHODO
プランナー・オブ・ザ・イヤー(日本/韓国)
- 受賞: 飯野泰毅、 TBWA\HAKUHODO
- 次点: 今橋雅史、 電通アイソバー
ヤングアチーバー・オブ・ザ・イヤー(日本/韓国)
- 受賞: 栗林和明 、TBWA\HAKUHODO 、デジタルアーツネットワーク
- 次点: マイヤ・ウィエスター 、オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン
日本と韓国、それぞれの審査員は広告主のマーケターによって構成。第1次選考は、各カテゴリーの審査基準に照らし合わせて個々のエントリーを審査、100点満点で採点した。
エントリーごとに全ての審査員の点数を合計し、各カテゴリーの受賞候補者を最大5社 / 名まで絞り込んだ。候補者が3社 / 名に満たなかったカテゴリーについては、全審査員でリストの有効性を協議し、第2次選考で賞の授与を決定した。また、個々の審査員が全てのエントリーを採点した場合のみ集計の対象とした。
第2次選考では日本と韓国の審査員が対面、または電話会議の形式で協議。それぞれの候補者をあらためて100点満点で採点し、全ての審査員の点数を合計、得点の高い順に金・銀・銅の賞を決定した。
(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:水野龍哉)