Maisie McCabe
2023年7月20日

カンヌで受賞したことがないなら、それはあなたの責任だ

あなたにとってのカンヌフェスティバルに全力を集中し、そしてその結果には責任を持とう

Campaign UKの編集者メイシー・マッケイブがカンヌライオンズ2023の概況を伝える
Campaign UKの編集者メイシー・マッケイブがカンヌライオンズ2023の概況を伝える

パレ(会場)で授与される賞に関する記事より、カンヌの豪華さを批判する記事の方が多いのではないか?カールトン(ホテル)で深夜1時、あるエージェンシーの社長に、今年のカンヌライオンズの概況を記事にするよう勧められたとき、私はそう考えて躊躇した。しかし、読者からのフィードバックには必ず応えるというのが私の信条だ。私は遅ればせながら、広告業界の最も輝かしく、最も残酷なこの一週間について論評を提供することにした。

歴代のカンヌに対する普遍的な批判のひとつは、カンヌが自らの成功に溺れているというものだ。なぜ報道関係者がこんなにいるのか?ビジネスに役立っているのか?マジェスティックに入るのになぜカンヌのパスが必要なのか?これ以上カテゴリーを増やしてどうするつもりだ?誰がクライアントを招待したのか?等々。

しかし、最も深刻なのは、ほとんどの人にとって、もはや作品の表彰がこのイベントの中心ではなくなっていることだ。だが、それが本当だとしても、カンヌ側が努力を怠っているわけではない。カンヌにとってのアワードの意義に疑問を持つ人がいるとしても、審査員記者会見の議長を、カンヌライオンズのチーフ・エグゼクティブであるサイモン・クック氏とフィル・トーマス会長が務めたという事実が、アワードの重要性を十分に物語っているはずだ。

キャンペーンUKは今年、各作品に対する関与度をより深めるため、審査委員長の記者会見に連日出席した。作品が上位入賞した理由を聞くのは興味深いものだ。各審査員のコメントは、私たちのグローバル・デイリー・ポッドキャストに深い洞察を提供し、受賞者のストーリーにさらなる分析を加えてくれた。だが、審査委員長の話を聞いたり、彼らのコメントを読んだりするためには、高度な知的訓練を必要とするとも感じた。

審査委員長の多くは、大手ブランドにグランプリを授与することに喜びを感じていると語っていた。そして週の前半は、パーパス志向の作品が減っているように見えたが、金曜の夜が明ける頃には、多数のパーパス作品がグランプリに輝いていた。しかし、広告におけるパーパスの役割に懐疑的な見方が広がり、審査員の決定にも影響を与え始めているように思えた。例えば、アップルの「The greatest」は、フィルムクラフト部門で金賞を受賞し、エンターテインメント・ライオンズでは音楽部門でグランプリを獲得したが、フィルム部門では銀賞だった。

昨年11月に開催されたCampaign BIG Awardsで、審査委員長を務めたマザー・ロンドンのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるフェリックス・リヒター氏とドローガ5ロンドンのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるシェリー・スモラー氏は、業界はパーパスキャンペーンからシフトし始めると予測していた。彼らには先見の明があったようだ。

カンヌ側に、この問題について審査員にどのような指針を与えたか尋ねたところ、カンヌは、パーパス主導の作品は消費者にとって有意義で、効果的にもなり得るが、それはマーケターが採用できる「選択肢のひとつ」に過ぎないと述べ、クリエイティビティを通じてブランドを構築し、製品を販売し、進歩を促進するために利用可能な「あらゆる選択肢」を代表する「卓越した作品」をキュレーションするよう審査員に奨励していると答えた。

どのように、そしてなぜ受賞するのかを時間をかけて理解することは、その答えが何であれ、価値のあることだ。Campaignは独自のアワードを数多く運営しており、オーナーであるHaymarketはSpikes Asiaでカンヌと提携している。どのようなスキームであれ、主催者からのガイダンスが決定に影響を与えるのは間違いない。また、審査委員長の好みも結果に大きく影響するだろう。どのサブカテゴリーがグランプリに最も近いのかを知ることも役に立つ。

素晴らしい広告であるだけでは、必ずしも十分ではないのだ。作品を作るというハードルを乗り越えた後、どのような賞を獲るために、どのカテゴリーにどのように応募するかを戦略的に計画する必要がある。カンヌライオンズ国際フェスティバルでは、重大な賞の候補になる前に、2組の審査員を通過する必要がある。審査員があなたの作品を気に入ってくれるよう、ルールとプロセスを十分理解する必要がある。そして基本的には、何より運が必要だ。

ITVとCalm(カーム)との仕事でフィルム・ライオンズ・グランプリを受賞したアダム&イブ/DDBのグローバル・チーフ・クリエイティブ・オフィサー、リック・ブリムは、私の同僚のグルジット・デグンのインタビューで、カンヌは「宝くじみたいなものだ」だと述べ、それを簡潔に表現した。これは、カンヌで7つものグランプリを獲得したクリエイターの言葉だ。

しかし、私がこのようなことを言うのは、応募を思いとどまらせるためでも、カンヌやその受賞者を中傷するためでもない。カンヌでまだ選ばれた経験がないないのであれば、それはやはり、あなたの責任だ。Campaign USの編集者アリソン・ワイスブロットがグローバル・デイリー・ポッドキャストで語ったように、カンヌは「自分で選び取る冒険」なのだ。

来年6月に向け、できる限り情報をかき集め、パレの地下を歩き回り(中略)あるいは今すぐオンラインで今年の作品に目を通し(中略)自分の心を定めよう。そして、世界中のエージェンシーやブランドがやっていることに刺激を受ける(あるいは憤慨する)時間を見つけよう。それを、自身の情熱を燃やすエネルギーに変えるのだ。

提供:
Campaign; 翻訳・編集:

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