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オムニコムのIPG買収で、広告業界最大手に
米オムニコム(Omnicom)が、米インターパブリック・グループ(Interpublic Group、以下「IPG」)を買収することで合意したと発表した。大手持株会社の合併によって、英WPPを抜く世界最大の広告会社が誕生することになる。合併後のCEOは、オムニコムのジョン・レンCEOが務め、IPGのフィリップ・クラコフスキーCEOは共同社長に就任予定。
レン氏とクラコフスキー氏はCampaignのインタビューに応じた。合併によってテクノロジーやデータの規模が拡大し、「従来の広告グループにありがちな重荷から解放される」ことで「迅速に動けるようになる」とレン氏。統合が完了するまで、最低でも3年間はCEOを務めるつもりだという。
クラコフスキー氏は、フィー制度やリテーナー契約といった従来の広告会社の形式ではなく、「SaaSのような機能」を取り入れて迅速に動けるようにすべきだと語った。同氏によると最初からIPGの売却を検討していたわけではなく、いくつかの選択肢があった。だが約1年前にレン氏との協議を始め、「協議を重ねるごとに合併のメリット、特にテクノロジーやデータに関する利点が明らかになった」という。「クライアントが必要としているのは、マーケティングやセールスのあらゆるチャネルにおいて、より良い決定を下すためのホリスティックな視点です」。
合併後の従業員数は13万人超、売上高は260億米ドル、時価総額は300億米ドル超になると予想される。オフショアリングや、重複する業務の削減などを通じて、年間7.5億米ドルのシナジー効果を見込む。「シナジー効果の多くは、顧客対応や顧客サービスの業務ではなく、間接部門から生み出されるでしょう」とレン氏は述べた。
クリエイティブについては、両社とも既に業務の合理化を進めている。オムニコムは今年8月、傘下のエージェンシーをオムニコム・アドバタイジング・グループ(Omnicom Advertising Group)に統合すると発表。IPGも傘下のヒュージ(Huge)やR/GAの売却を進めている。
オムニコムは2013年7月に、仏ピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)との合併を計画したことがある。だが2014年5月に計画の撤回が発表された。
ヴィヴェンディの事業分割を株主が承認
仏メディア大手ヴィヴェンディ(Vivendi)は、傘下にある複数の部門の分割を検討してきたが、このたび97%の株主が事業分割に賛成票を投じた。広告のハヴァス(Havas)、メディア事業のカナル・プリュス(Canal+)、出版のルイ・アシェット(Louis Hachette)、そして持株会社のヴィヴェンディの4つに分割される。
ハヴァスはアムステルダムに移転し、ユーロネクスト・アムステルダムに上場する予定だ。カナル・プリュスはロンドン証券取引所、ルイ・アシェットはユーロネクスト・グロース(パリ)での上場を予定している。
AKQAが組織再編、3地域それぞれにCEOを任命
WPP傘下のAKQAが、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、米州、アジア太平洋の3つの地域でP&Lを分け、それぞれにCEOを任命した。
EMEAのCEOに就任したのは、欧州の最高エクスペリエンス責任者のジェフ・ノースコット氏。米州のCEOにはテサ・アラゴネス氏(北米担当プレジデント)、アジア太平洋のCEOにはブライアン・ヴェラ氏(アジア太平洋担当マネージングパートナー)が就く。
WPPの最高技術責任者であるステファン・プレトリウス氏は「この新しい組織体制はAKQAにとって大きな前進で、AKQAの最高のサービスを世界中の全顧客に提供できるようになる」と説明する。「AIの時代に卓越した成果物をクライアントに提供するため、新しい基準を確立する態勢を整えています。WPP Open(AIを活用したソリューション)を活用することでAKQAは創造性をますます高め、よりインパクトのあるビジネスソリューションをクライアントに提供し、業界の未来を形作っていきます」。
(文:田崎亮子)