Ryoko Tasaki
2024年6月21日

世界マーケティング短信:カンヌライオンズ2024が開幕

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

カンヌライオンズのサイモン・クックCEO(写真提供:カンヌライオンズ)
カンヌライオンズのサイモン・クックCEO(写真提供:カンヌライオンズ)

※記事内のリンクは、英語サイトも含みます。

カンヌライオンズ、日本勢の受賞作品

カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルが17日に開幕した。4日目までに発表された、日本勢の受賞作品は以下の通り。また、アジア太平洋地域の受賞者一覧はこちら(英語)

【Audio & Radio部門】

●ブロンズ: 日本マクドナルド/「No Smiles:あなたらしい笑顔で働こう」(TBWA Hakuhodo、ロボット)

【Outdoor部門】

●ブロンズ: すみだ水族館/すみだペンギン相関図(Dentsu Creative)

【Design部門】

●シルバー: 映画『Perfect Days』/公式サイト「Days of HIRAYAMA」(電通)

●ブロンズ: 亀屋良長/文菓子(VML & Ogilvy Japan)

【Digital Craft部門】

●ブロンズ: 映画『Perfect Days』/公式サイト「Days of HIRAYAMA」(電通)

【Entertainment Lions for Gaming部門】

●ブロンズ: ソニーPlayStation × King Gnu/「Play Has No Limits“限界突破”CM」(SIX)

【Entertainment Lions for Music部門】

●ブロンズ: 日本マクドナルド/「No Smiles:あなたらしい笑顔で働こう」(TBWA Hakuhodo、ロボット)

【Entertainment部門】

●ブロンズ: アップル/「iPhone15 Proで撮影 ミッドナイト」(TBWAメディア・アーツ・ラボ、手塚プロダクション、ミリアゴンスタジオ)

【Industry Craft部門】

●シルバー: 北國新聞/第107回高等学校相撲金沢大会(電通)

●ブロンズ: 星新一賞/「DEPARTURES TO THE COUNTLESS FUTURES」(電通)

●ブロンズ: アドミュージアム東京/「世界のクリエイティブがやってきた!2023」展 (電通)

【Social & Influencer部門】

●ゴールド: 日本マクドナルド/「No Smiles:あなたらしい笑顔で働こう」(TBWA Hakuhodo、ロボット)

カンヌライオンズのエントリー数、今年は微減

カンヌライオンズの今年のエントリー数は26,753件で、昨年(26,992件)からわずかに減少した。エージェンシーからの応募が最も多いが、ブランド(6%増)やメディアオーナー(31%増)からの応募が増えている。

カンヌライオンズのCEOであるサイモン・クック氏によると、コスタリカからのエントリーが3倍に増えるなど中南米からの応募が「大幅に増加」した他、シンガポール(93%増)やニュージーランド(47%)からも増えた。英国ならびに米国は「おおむね横ばい」だった。

部門別では、Outdoor部門とAudio & Radio部門がそれぞれ6%増だった他、Innovation部門(52%増)、Social & Influencer部門(21%増)、Creative Commerce部門(18%増)と新しい分野が大きく伸びた。

今年は全30部門のうち13部門で「ユーモアの活用」というサブカテゴリーを新設。これらの部門への応募件数の5%(798件)がユーモアに関するもので、「トーンの変化と、人々を楽しませることを目的とした効果的な作品が反映しています」と、アワード担当グローバルディレクターのマリアン・ブラネリー氏は語る。

クリーン・クリエイティブス、今年はカンヌでの抗議活動を実施せず

広告界に化石燃料企業のグリーンウォッシングに加担しないよう呼び掛ける団体で、昨年はリチャード・エデルマン氏(エデルマン社CEO)の背後でプラカードを掲げたクリーン・クリエイティブス(Clean Creatives)だが、今年はカンヌでの活動を行わないという。

「カンヌは大手広告会社にとっても参加が難しく、費用もかかります。クリーン・クリエイティブスのような小さなNPOにとって、クロワゼット通りで注目を集めさせるチームを呼び集めるのは、非常に難しい」と、同団体のエグゼクティブディレクターを務めるダンカン・マイゼル氏は語る。

だが今年は国連事務総長が化石燃料企業の広告について言及するなど、グリーンウォッシングに関するメッセージは以前よりも身近になったという。同氏は気候変動に関する30分間のセッションに登壇したが「2年前は、パレのステージ上で活動家がスピーチを妨害し、(かつて活動家自身が受賞した)トロフィーを突き返すことで化石燃料企業との関係を断つよう訴えたものでした。しかし今は、公式の講演として伝えられるようになったのです」。

【お知らせ】

アジア太平洋地域の名誉ある賞として知られるCampaign Asia-Pacific主催「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー2024」のエントリー受付を開始しました。早期エントリー締切は8月6日、通常エントリー締切は9月6日です。くわしくはこちら(英語)をご確認ください。

(文:田崎亮子)

 

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

世界マーケティング短信:国連事務総長「情報空間を安全で人間的なものに」

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

4 日前

カンヌライオンズ2024のグランプリ全作品

第71回カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルでグランプリを受賞した、世界の優れた広告を一挙紹介する。

4 日前

アジア勢はカンヌで存在感を高めることができるか?

今年のカンヌ映画祭におけるアジア勢の存在感の低さを、イアン・ウィテカー氏が指摘。アジア勢の存在感を高めることが、すべての人々により良い学びの機会となり得る理由を語る。

4 日前

「人間性の回復」をサポートする、AI

AIは人の文化にどのような影響を及ぼすのか。その活用次第では、我々が失いつつある人間性を取り戻せるかもしれない。