David Blecken
2017年2月15日

ゲーマーの邪魔をしない「DEKKI」

ゲーマーにとって、プレイ中に表示される広告は実に目障り – そう考えたプレイブレーン社CEOが、新たなプラットフォームを創設した。

ゲーマーの邪魔をしない「DEKKI」

東京にあるゲーム業界専門のクリエイティブエージェンシー「プレイブレーン」が、ゲーマー同士で戦略やアイデアを討論したり、独自のゲーム関連コンテンツを作ったりできるオンラインプラットフォーム「DEKKI(デッキ)」を立ち上げた。現在はベータ版で、日本語と英語に対応。ブランドに向けても、通常の広告より控え目な手法でゲーマーにリーチできるサービスを提供していく。

「ゲーマーのコミュニティでは、コンテンツを遮るような広告や次々と表示されるバナー広告に皆がうんざりしているのです」。プレイブレーンの創業者兼CEOであるマイケル・シタール氏は、DEKKIの主たるコンセプトをこう語る。

「ですからユーザーにとって、広告主は体験の可能性を広げてくれる存在というより、むしろ目障りで鬱陶しいものになってしまった。こうした迷惑な広告は将来的になくなっていく、と私は確信しています。現にNetflix(ネットフリックス)やTwitch(ツイッチ)など、広告が表示されないプラットフォームが台頭してきていますから」。DEKKIにおけるブランドの関わり方は、コンテンツやインフルエンサーへのスポンサーシップが中心となる。

「DEKKIはまだ、ソーシャルコンテンツサイトとして多くの人々が参加できる段階ではありません」とシタール氏。その代わり、広告主がユーザー体験を損ねるのではなく、向上させていく「摩擦の起きないコンテンツプラットフォーム」を目指す。近々最初のブランドが登場するというが、その具体名はまだ明かさなかった。

DEKKI上のコミュニティは現在、「ハースストーン」が中心。今後はより多くのゲームコミュニティを立ち上げていく予定だ。ツイッチとユーチューブのチャンネルも展開しており、ユーザーがコンテンツを作成・編集できるエディター機能はウェブアプリケーションの「Medium(ミディアム)」にも相通じる。シタール氏曰く、「クラウドを利用することで、運用コストを抑えながら迅速化と規模拡大が可能なプラットフォームになりました」。

(文:デイビッド・ブレッケン 翻訳:鎌田文子 編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

関連する記事

併せて読みたい

1 日前

トランプ再選 テック業界への影響

トランプ新大統領はどのような政策を打ち出すのか。テック企業や広告業界、アジア太平洋地域への影響を考える。

1 日前

誰も教えてくれない、若手クリエイターの人生

競争の激しいエージェンシーの若手クリエイターとして働く著者はこの匿名記事で、ハードワークと挫折、厳しい教訓に満ちた1年を赤裸々に記す。

2024年11月15日

世界マーケティング短信:化石燃料企業との取引がリスクに

今週も世界のマーケティング界から、注目のニュースをお届けする。

2024年11月13日

生成AIはメディアの倫理観の根幹を揺るがしているか?

SearchGPT(サーチGPT)が登場し、メディア業界は倫理的な判断を迫られている。AIを活用したメディアバイイングのための堅牢な倫理的フレームワークはもはや必要不可欠で、即時の行動が必要だとイニシアティブ(Initiative)のチャールズ・ダンジボー氏は説く。