Emily Tan
2017年11月06日

コンサルティング会社は「脅威ではない」

WPPは第3四半期の決算報告で、「コンサルティング会社の脅威が大げさに騒がれ過ぎている」と述べた。アナリストたちも同社に賛意を示す。

コンサルティング会社は「脅威ではない」

WPPは第3四半期の決算報告で、経営コンサルティング会社が広告業界、特にデジタル分野で大きな影響を及ぼしているという見方に疑問を投げかけた。

同報告によれば、WPP傘下の企業を含め、ほとんどの広告代理店はデジタル事業におけるコンサルティング会社との競争で常に優位を保ってきたという。

WPPは、米広告業界誌アドエイジが出したコンサルティング会社のデジタルマーケティングにおける収益予測が、広告代理店や持ち株会社のそれと比較して「かなり不正確」と指摘。「フェイクニュースのレベル」とまで批判する。

同誌は2016年、アクセンチュア・インタラクティブが44億米ドルの収益を上げて世界No.1のデジタルエージェンシーになり、IBM iXとデロイトデジタルがそれに続くとした。だがWPPは、同社のデジタル事業における収益が75億ドルで、アクセンチュアを30億ドル以上も上回ると反論。

「コンサルティング会社は確かにこの市場に進出してはいるものの、デジタル分野というより、クライアントのコスト対策に従事する場合が多い」とWPPは述べる。

更にWPPは、対コンサルティング会社の事業成績を公表。WPPが勝ち取ったプロジェクトは45件、計6800万ドルであるのに対し、コンサルティング会社は24件、2000万ドルという。

「ほとんどの場合で広告代理店が勝っているという事実とは別に、特筆すべきは(コンサルティング会社の)収益の小ささです」と指摘するのは投資銀行リベラムの複数のアナリスト。「プロジェクト数は87件で、今年のこれまでの未済収益は1億4300万ドル。収益の1パーセントにも満たず、損失は過去最大の500万ドルです。WWPの見解通りで、コンサルティング会社は規模や存在感の上で小さく、主要なメディアバイイングやプランニング事業で競合相手になるとは思えません」。

独・ベレンベルク銀行のアナリストたちもWPPに賛意を表す。既存の広告代理店グループに対するコンサルティング会社の脅威は「誇張されています」。だが一定の影響は否定できず、代理店は「低成長の時代に入りつつあることを留意すべきでしょう」。

投資調査会社ピボタル・グループのシニアリサーチアナリスト、ブライアン・ ウィーザー氏は「コンサルティングやITサービス企業の競争上の脅威は、広告代理店、特にWPPにとってネガティブな1要素でしかない」と語る。

「業界にとって本当の脅威とは、大手クライアントが契約内容により厳しくなっていること、そしてその背景にある支出の削減なのです」

(文:エミリー・タン 編集:水野龍哉)

提供:
Campaign Japan

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