ブロガー・作家のはあちゅう氏がかつて勤務していた電通でセクハラやパワハラを受けていたことを、BuzzFeed Japan(バズフィード)が12月17日に報じた。加害者だとされるのが、電通でエグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターを務め、2017年に独立した岸勇希氏だ。
バズフィードの記事では、はあちゅう氏の証言の他、複数の電通社員から得られたというコメントが掲載されており、被害者は複数人いた様子。また、バズフィードが岸氏に取材依頼をしたのと同じ頃にはあちゅう氏のメッセンジャーに届いた、岸氏の謝罪メッセージについても紹介している。
一方の岸氏は16日に「BuzzFeed様からの取材について」という題で、取材の依頼状を公開し、そこに書かれていた質問について経緯や反省を記している。また18日には、自身が4月に設立した「刻キタル」の代表取締役を辞任し、同社を退社する旨を声明にて発表。声明には「自分の個人的な問題から、社会を大きくお騒がせしたこと」、そしてクライアントや取引先など関係者に「多大なるご心配とご迷惑をおかけしてしまったことに対する責任を重く受け止め」たことが、辞任・退社の理由だと記されている。
米国では2月にウーバーの共同創業者が、セクハラなど一連の不祥事が原因で辞任。10月中旬にはハリウッド女優たちが、大物映画プロデューサーから受けたセクハラ被害を相次いで告発した。これが引き金となり、世界各地で「#MeToo(私も)」というハッシュタグで、セクハラ被害をツイッター上で告発する動きにつながった。米タイム誌の恒例企画「パーソン・オブ・ザ・イヤー」には、セクハラ被害を公表した女性たちが「The Silence Breakers(沈黙を破った人たち)」として表紙に登場している。
日本でも、ジャーナリストによる記者からの性暴力被害の告発や、起業家によるツイッターでのセクハラ被害告発、演出家が過去の言動で与えた苦痛に対してツイッター上で謝罪するなど、「#MeToo」の動きはしばらく止まりそうにない。
(文:田崎亮子)