Simon Gwynn
2018年6月05日

データビジネスを疎むWPPの投資家たち

WPPグループがカンターなど傘下の企業を売却するよう、投資家たちが後押しすると見られている。これは「S4キャピタル」を新設したマーティン・ソレル卿にとって、追い風となるだろう。

マーティン・ソレル氏 (写真:AFP)
マーティン・ソレル氏 (写真:AFP)

ピボタル・リサーチ・グループのシニア・リサーチ・アナリストであるブライアン・ウィーザー氏は今週月曜、カンターの売却は「データビジネスを疎む投資家たちからは好意的に評価されるだろう」と語った。売却できなかった場合は「否定的にとられるだろう」とも。

カンター買収に、ソレル氏が先週立ち上げた新会社「S4キャピタル」が名乗りを上げる可能性がある、と話すのはリベルム・キャピタルの欧州メディア調査責任者であるイアン・ウィテカー氏だ。

「もしソレル氏がデータ領域への参入を視野に入れているならば、(WPPのデータ投資マネジメント事業が)『買い』であることは明らかです」。だがアクセンチュアなどコンサルティング会社も関心を示すのではと、ウィテカー氏はみている。

カンターなどWPPの事業が「迅速に売却される可能性は高い」と語るのは、デグルート・コンサルティングを率いるアレックス・デグルート氏。「今後数週間の間に大きな業績下方修正が起こるのではないかと、投資の世界では見られています」

2017年2月から下落傾向にある株価が上昇するよう、WPPがコムスコア(ComScore)、グローバント(Globant)、ヴァイス(Vice)、アップネクサス(AppNexus)などを清算するのでは、とウィーザー氏。

また、WPPがソレル氏の後継者として、外部の人材を任命するかもしれない。「WPP内部ではない人材が新CEOになる可能性があり、このことが経営陣やビジネスそのものに混乱をもたらすのではと懸念しています」(ウィーザー氏)

現時点で後継者として有望視されているのは、WPPの共同COO(最高執行責任者)を務めるマーク・リード氏。だがオース(Oath)のCEOであるティム・アームストロング氏も、後任候補として予想されている。

(文:サイモン・グウィン 翻訳・編集:田崎亮子)

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