ヒュージAPACは競合の末、今回の案件を勝ち取った。パートナーシップは4月から発効し、同社は日興アセットマネジメントのデジタル戦略を主導していく。まずはシンガポールと香港でウェブサイトを刷新、ユーザーエクスペリエンスの向上を目指す。さらに今後10カ月で欧州や中東、アフリカ、米国などで同様の措置を取る。
「日興アセットマネジメントはあらゆる株主向けの金融サービスを提供していく。今回の提携で、顧客への最上級のデジタルエクスペリエンスの提供が可能になります」(ヒュージAPAC・プレスリリースより)
日興アセットマネジメントは東京に本社を構え、世界11カ国で業務を展開。900名以上の従業員の国籍は28カ国に及び、運用資産は2844億米ドル(約31兆円、2020年12月末時点)。日本では最も長い歴史を持つ資産運用会社の1つ(1959年創立)で、その規模はアジア有数だ。
「デジタルは我々のビジネス戦略の中核。顧客サポートの向上には、デジタルへの投資が欠かせません。DXに美的感覚と創造性、そして専門性を加味できるウェブサイトの展開は、APAC戦略上極めて重要。新しいパートナーであるヒュージAPACは、アジアのDNAを持ちながら『世界性』の意味を理解している。そして未来志向のデザイン力がある。これらの長所を生かして、我々の目標を達成してくれることでしょう」(日興ASシニアコーポレートオフィサー、ステファニー・ドリュー氏)
また、ヒュージAPACは東京オフィスのクリエイティブディレクターにラファエル・バレト氏を起用した。グローバルブランドのDXプロジェクトを牽引していくことが主な任務となる。
同氏はこれまでブラジルでシニアプロダクトデザイナーとして活動。スタートアップ企業向けのデザインスタジオの主宰や、アクセンチュアインタラクティブのデザイン部門に携わった。
「東京オフィスの国際性豊かなデザイナーチームに加わるのはとても刺激的」と同氏。「日本は今、大きなデジタル変革の最中にあり、パンデミックによってそれが加速化している。ブランドのためにユーザー第一のイノベーティブなDXを構築していくことは、素晴らしい経験になります。私は過去20年にわたってクライアントのためにDXを具現化してきた。日興アセットマネジメントとの協働は、人とデザインとの関わり方、そして最先端のDXの新時代を切り開くことでしょう」
(文:水野龍哉)